上の写真は、篠山市宇土の敦生(あつき)くん、9月30日生まれ。
「元気にすくすく育ってください。
あっという間に生まれてきてくれて楽でした。でも痛かった。
夜中でも優しくしてくださり、快適に過ごせました。」
そうでしょう、そうでしょう。
夜中もお仕事してますからね。
今晩もこれからお産なのですよ。
へその緒が2回も首に捲いているので注意しないといけませんしね。
そうですね、今日はへその緒が捲いている場合の注意点をお話しましょうか。
まず陣痛なのですが、なぜ陣痛って起こるのでしょうか?
教科書的にも不明なのですよね。
ですが、経験上、お母さん側の事情ではないと思うのですよ。
どうも胎児が陣痛を起こしてくれ、と働きかけているように思うのです。
というのも、へその緒が首に捲いていると、陣痛が来かけても遠のくことが多いからです。
陣痛発来でいったん入院しても、遠のいて退院される場合、まず捲いています。
しんどいと、やめてくれと言うのでしょうね。
いったん退院になっても、待てばまた陣痛が来ます。
まれに42週近くになって陣痛を誘発する場合も有ります。
陣痛が始まると、分娩監視装置を付けるのですが、
胎児の状態が悪い兆候が見られることが多いのです。
パターンはいくつか有って、へその緒がひっぱられていると、そのパターンで見分けが付きます。
60の法則と言って、60以上今の心拍数より落ちるか、心拍数が60以下まで落ちることが、
60秒以上続くようならよろしくない状態です。
至急、帝王切開や吸引分娩をしないといけないかどうかは、
心拍数が落ちた後の、落ちていない時のパターンが参考になるのですよ。
ちょっと専門的過ぎますね。
タマル産で帝王切開が少ないことの理由はここに有ります。
普通なら吸引分娩になったり、帝王切開になるような状態でも、
肛門括約筋を用手的に拡げることによって、吸引器を使わなくても素早く産ませてあげられるからです。
さて、赤ちゃんが生まれる時、ここが重要なのですが、
へその緒が首に捲いていると、苦しくて子宮の中でウンチをしてしまうことがよく有ります。
普通は生まれてからウンチをするので、子宮の中は綺麗なのですが、
生まれる前にしてしまうと、羊水が汚れてしまいます。
その汚れた羊水を飲み込んでしまうと、肺が目詰まりしてしまうのですよ。
それで生まれてから、呼吸数が早かったり、熱が出たり、息苦しそうにしたりします。
血液検査では次の日くらいになって初めて、異常値が出るようになります。
生まれてすぐは反映されないのですね。
指に捲く血中酸素飽和度というモニターでは、酸素濃度が低く出るので、
保育器の中に酸素を流す目安にはなるのです。
こういう赤ちゃんのことを、新生児胎便吸引症候群と呼ぶのですよ。
たいそうな名前ですね。でもすごくよく有ることですから、知っておいてもいいでしょうね。
ネットで調べてみたら、コワイことがいっぱい書いてあって、亡くなってしまうことも有ります、
とか書いています。
ですが、普通は抗生剤を数日内服し、保育器には1〜2日入るだけで、たいてい良くなりますからね。
あまり心配する必要はありませんから。
ですがスタッフは夜中もずっと監視し続けていますからね。
もちろんお産が近づけば私も張り付くのですよ。