タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

新生児胎便吸引症候群

2016-11-04 21:21:57 | 産科


上の写真は、篠山市宇土の敦生(あつき)くん、9月30日生まれ。
「元気にすくすく育ってください。
あっという間に生まれてきてくれて楽でした。でも痛かった。
夜中でも優しくしてくださり、快適に過ごせました。」

そうでしょう、そうでしょう。
夜中もお仕事してますからね。
今晩もこれからお産なのですよ。
へその緒が2回も首に捲いているので注意しないといけませんしね。

そうですね、今日はへその緒が捲いている場合の注意点をお話しましょうか。

まず陣痛なのですが、なぜ陣痛って起こるのでしょうか?
教科書的にも不明なのですよね。
ですが、経験上、お母さん側の事情ではないと思うのですよ。
どうも胎児が陣痛を起こしてくれ、と働きかけているように思うのです。
というのも、へその緒が首に捲いていると、陣痛が来かけても遠のくことが多いからです。
陣痛発来でいったん入院しても、遠のいて退院される場合、まず捲いています。
しんどいと、やめてくれと言うのでしょうね。

いったん退院になっても、待てばまた陣痛が来ます。
まれに42週近くになって陣痛を誘発する場合も有ります。

陣痛が始まると、分娩監視装置を付けるのですが、
胎児の状態が悪い兆候が見られることが多いのです。
パターンはいくつか有って、へその緒がひっぱられていると、そのパターンで見分けが付きます。
60の法則と言って、60以上今の心拍数より落ちるか、心拍数が60以下まで落ちることが、
60秒以上続くようならよろしくない状態です。
至急、帝王切開や吸引分娩をしないといけないかどうかは、
心拍数が落ちた後の、落ちていない時のパターンが参考になるのですよ。
ちょっと専門的過ぎますね。

タマル産で帝王切開が少ないことの理由はここに有ります。
普通なら吸引分娩になったり、帝王切開になるような状態でも、
肛門括約筋を用手的に拡げることによって、吸引器を使わなくても素早く産ませてあげられるからです。

さて、赤ちゃんが生まれる時、ここが重要なのですが、
へその緒が首に捲いていると、苦しくて子宮の中でウンチをしてしまうことがよく有ります。
普通は生まれてからウンチをするので、子宮の中は綺麗なのですが、
生まれる前にしてしまうと、羊水が汚れてしまいます。
その汚れた羊水を飲み込んでしまうと、肺が目詰まりしてしまうのですよ。

それで生まれてから、呼吸数が早かったり、熱が出たり、息苦しそうにしたりします。
血液検査では次の日くらいになって初めて、異常値が出るようになります。
生まれてすぐは反映されないのですね。
指に捲く血中酸素飽和度というモニターでは、酸素濃度が低く出るので、
保育器の中に酸素を流す目安にはなるのです。

こういう赤ちゃんのことを、新生児胎便吸引症候群と呼ぶのですよ。
たいそうな名前ですね。でもすごくよく有ることですから、知っておいてもいいでしょうね。

ネットで調べてみたら、コワイことがいっぱい書いてあって、亡くなってしまうことも有ります、
とか書いています。
ですが、普通は抗生剤を数日内服し、保育器には1〜2日入るだけで、たいてい良くなりますからね。
あまり心配する必要はありませんから。

ですがスタッフは夜中もずっと監視し続けていますからね。
もちろんお産が近づけば私も張り付くのですよ。




11月6日はみなとのもり公園でお会いしましょう

2016-11-02 21:07:28 | 産科


上の写真は、篠山市網掛の「そら」ちゃん、9月29日生まれ。
「晴れた空のように、すこやかに育ちますように。
長男の時と同じように、安産でよかったです。
ベッドも広くて、個室でゆっくり過ごせてよかったです。」

全室個室で、ベッドはダブルベッドですから、ご主人も一緒に泊まれたりしますね。
お兄ちゃんも一緒に泊まったのかな。
待合室の椅子や、産後の個室の椅子に照灯台、ベッドなどの家具は、みんな北欧家具なのですよ。
開業する時に、けっこう探したのです。
それでちょっとカワイらしいではないですか。

今日のお話は、性感染症のお話です。
毎年10月は、定点調査で、報告しないといけないのですよ。
いつもなら、月に数人は感染者が居られるのですが、
今年に限って、10月の1ヶ月は、0人でしたよ。
これが続くといいのですが。

多いのは、断然クラミジアですね。
淋菌やヘルペスウィルス、尖圭コンジローマ、梅毒などが稀に陽性になる程度でしょうか。
男性の場合は淋菌の方が多く引っ掛かるのですよ。
ただ男性の場合は、クラミジアに感染していても症状が出にくいので、
感染していることを知らないだけかもしれません。
実際のところは、男性でもクラミジア感染が多い可能性は有るのではないかと思っています。

その稀にしかない感染症の1つ、梅毒ですが、
先月でしたか一度お話したのですよ。
それに関して、最近、統計が発表されたので、追記しておきましょう。

近年、世界的に梅毒の感染が増えているのです。
とくに日本では10代、20代の若い女性に感染が増えているのです。
日本産婦人科学会が先月発表したところによると、
昨年の10月から今年の3月までの半年間に分娩した妊婦さんのうち、
約4千人に1人が梅毒に感染していたということです。

意外と少ないと思われるでしょうか。
妊婦さんの内訳は30代だと、8,091人に1人、
20代だと、2,449人に1人、
10代だと、537人に1人です。

若い女性ほど、感染していることが多いということですね。
ということは、これからどんどん増えるということですよ。
この統計は、妊婦健診で全員検査しているので、
症状は無いけれど、たまたま検査で陽性になった割合なのです。
妊娠していない女性で感染していないことの方がよっぽど多いので、
梅毒に感染しているのが4千人に1人ではなく、もっともっと多いのですよ。

妊娠中に梅毒に感染していると、8%に早産が起こります。
妊娠後期から生まれてしばらくの間に胎児や新生児が亡くなる確率は4%になります。
そして先天奇形が14%に生じます。
知的障害なども起こります。

それで日本産婦人科学会では、若年者に対する性教育の重要性や早期からの妊婦健診の受診、
妊娠中の性感染症予防に関する啓発の必要性が推定されたと報告しています。

これは一般的な話ですよね。
ですが、具体的に行動に移さなければいけません。
それで、次の日曜日、11月6日の日曜日なのですが、
神戸の三宮からのフラワーロードの突き当たりに、みなとのもり公園という公園が有ります。
そこで性モラルを高めてもらい、家庭の重要性をアピールする大会を予定しているのですよ。
時間は2時からです。
私も開会式の来賓に選ばれていて、スピーチをしないといけないのですよ。

そして2時半頃から、三宮駅に向かって、プラカードを持って行進します。
実は、この運動はタマル産が開業した時と同じ、17年前の1999年から何度も行っていて、
私は当時より兵庫県の家庭再建運動の会長を賜っているのです。

けっこう町を練り歩くのは楽しいですよ。
警察の方も友好的で、当日も誘導してもらう予定です。
興味の有る方は、当日、参加してくださいな。
言ってるだけじゃダメで、実際に行動に移さないとね。