タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

風邪に抗生物質?

2018-07-25 21:24:49 | つれづれ
先週、暑い中、夏休みと称して、天橋立まで行ってきましたよ。
もっともタマル産の不妊外来では、舞鶴から通われている方も居られるので、
毎週遠方よりたいへんだと感じます。

私の母方は京都、父方は三重県、そして私は真ん中の滋賀県で生まれました。
小学生の時に家族旅行したのが天橋立だったので、思い出深いのです。
知恵の輪をくぐったら、頭が良くなるとか言われて。
何十年もして、同じことを自分の子供たちにも言ってきましたからね。

最近まで知りませんでしたが、天橋立にはハマナスの群生地が有るのですよね。

ハマナスは野ばらとともに、日本の原種バラの1つです。
日本の気候に合っているということですね。
赤い実はローズヒップティーになりますよ。
今年タマル産に作ったハマナス園は、本家の群生地よりすっかり立派になりましたからね。

さて、今日の話題です。
今年の診療報酬改定で、抗生物質の適正使用が重点対策されたことは以前にお話しました。
日本は世界でも類を見ないほど抗生物質をよく使用する国で、
おかげで耐性菌の増加が問題になっているからです。

もちろん抗生物質がよく効く病気も有るのですよ。
膀胱炎などですね。
ところがただの風邪では、ウィルスが原因のことが多く、
抗生物質は必ずしも必要ないのです。
抗ウィルス薬も、若くて普段健康な方には、必ずしも必要だとも思いませんが。
抗生物質は風邪に効かないばかりか、
女性ではよくカンジダ膣炎の副作用を来したりしますからね。

それで最近ようやく医療機関の方でも、風邪に対しての抗生物質を控えるようになってきています。
それでも抗生物質が好きな先生がまだまだ多いのも事実です。
今年の日本化学療法学会、日本感染症学会合同外来抗菌薬適正使用調査委員会では、
「この種の医師の集団にいかにアプローチするかが、重要な課題」とまで発言しています。
風邪に抗生物質をあまり出さない医師は62%で、よく出す医師は38%だったようです。

それで患者さんへの対応はどうか、と言うと、
抗生物質を出さない旨を説明しても納得しない場合は処方するが50%、
説明して処方しないが33%、
希望通り処方するが13%でした。
つまり2/3の患者さんは、風邪に抗生物質を希望されるようですね。
まだまだ情報不足ですね。

今日の外来では、ある妊婦さんが泣きべそ顔で来院されましたよ。
それに先立ち柏原の耳鼻科から電話で問い合わせが有ったのです。
抗生物質を処方したいが、妊娠中はだいじょうぶか、というものです。
セフェム系はだいじょうぶですが、薬剤の添付文書に情報が載っていますとお答えしたのですよ。
これからのことも有りますしね。
もっとも医師からの電話でなく、受付か看護師さんからのようでしたけれど。
さぞお忙しかったのでしょう。

それでその妊婦さんは結局処方されず、抗生物質だけタマル産でもらうように言われて来院されたというわけです。
たらい回し状態ですか。
耳鼻科では風邪に対しては、たしかに抗生物質を処方することがまだまだ多いのでしょう。
私は、というと、漢方薬のみ処方しておきましたよ。
だって、耳の奥を診察したわけではないのですからね。
もちろん悪化すればやはり耳鼻科に再診するようには指導しましたが。

考えさせられた症例でした。

そうそう柏原でなく、舞鶴で開業している井上耳鼻科さんは、私の同級生ですよ。
娘同士も福知山の同じ高校に通っていた仲です。
ですが舞鶴まで行くのは、ちょっと遠いですよね。