タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

ABOで性格なんて分かりません

2015-02-23 20:54:23 | 産科
篠山市大沢の永喜遠(ときわ)くん、1月20日生まれ。
「喜びが続きますように。
4人目ですが、お産は痛かったです。
みなさんとても親切で、何でも相談しやすかったです。」

3人目と4人目がタマル産だったのですよね。
赤ちゃんを産むほどに、お産が気持ちいいと言われる方も居られるのですが。
まだ産み足りないのでしょうか。

外来で、次の妊娠で来院された妊婦さんが居られました。
上の子が特殊な血液型だったのですよね。
赤血球の表面にはいろんな、抗原と言われるカギみたいなものが有るのです。
しかもいろんな抗原の種類が有って、あるものはAとかBとかと呼ばれますし、
あるものはRhDと呼ばれます。
これらはよく知られたものですが、他にも300種類ほど見つかっているのです。
これらを全部調べられれば、赤血球の型だけで、他人と区別がつくでしょうね。
指紋みたいなものですか。

調べすぎると、1人ずつ違うということになってしまいますが、
もう少し大雑把に、A型のグループ、B型のグループ、AB型、O型という風に分けて、
何か仲間意識みたいなのを持ってしまうのですね。
A型の人はこんな性格だとか。
もちろん根拠は無いし、科学的にも否定されているのですが、
日本人はどうも信じる人が多いのはおかしいですね。
信じるとするなら、ABOだけでなく、300種類の血液型について定義しないといけませんよね。
さらには白血球の型まで有るのですから。

ところで、先ほどお話したタマル産で生まれた赤ちゃんのことです。
普通はRhDプラスなのですが、たまにRhDマイナスの子が居るのです。
さらに稀には、RhDのプラスマイナスという子もいるのですよ。
ただし書く時には、プラスマイナスでなく、RhDu型と呼ぶのでした。
この話は2013年10月28日の私のブログに書いてありました。
検索に引っ掛かってきましたよ。

ちなみにタマル産のある看護師さんは、タマル産で産んだ2人の子がRhマイナスだったそうです。
すみません、もう忘れていました。
RhDの「D」は省略することが多いです。EとかCも有るのですが。
これには後日談が有って、Rhプラスマイナス(u)の子が大きくなって、Rhプラスになったのだそうです。
本当でしょうか、私には分かりません。

それで思い出しましたが、最近また違う血液型の妊婦さんが居られました。
他院から紹介された時にはB型ということだったのですが、
むかしよそで、特殊な血液型だと言われたことが有るというので、
タマル産で再検査してみたら、やはり血液型が判定不能と出ました。
そんなことも有るのですよ。

血液型はオモテとウラの2種類検査して、合致した時に初めてAとかBとか分かるのですが、
これがオモテとウラで合わないことが有るのですよ。
そういう場合は輸血の時の心配もしなくてはならないので、
念のため、大学病院での検査をおすすめしました。

この女性はすごく心配されて、遺伝かどうか、と聞かれるのですよ。
確かに遺伝ですが、この女性が言われる意味はこどもも同じようになるのか、
という意味でしょう。
ところがあなととあなたの子供との血液型は同じですか?
違うことも有るでしょう。
だから確かに遺伝ですが、同じ血液型を探すのに子どもも苦労するとは限らないのですね。

1つだけ重要なポイントです。
ABOが赤ちゃんと妊婦さんとで違っても、その赤ちゃんの赤血球をやっつけるということは有りません。
それはその抗体の大きさがIgMと言って、大きいから胎盤を通らないからです。
Rhのマイナスのお母さんが、プラスの赤ちゃんを妊娠した場合は、
一度目は大丈夫です。
ただし2人目の時はIgGという抗体ができてしまっているので、
2人目の胎児をやっつけてしまうのです。
これはIgGはサイズが小さくて、胎盤を通過してしまうからなんです。
ここはポイントですね。

だから予防のために、1人赤ちゃんを産むか、流産や中絶をした場合は、
予防のための注射(抗Dヒト免疫グロブリン)が必要になるのですよ。