タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

お産は痛いだけのものですか

2015-02-03 20:40:39 | 産科
写真は、篠山市野々垣の愛維(めい)ちゃん、12月30日生まれ。
今日、1ヶ月健診でした。
「元気な子に育ってください。
お産は痛かったけど、2人目も欲しいです。」

初めての子もまだまだ苦労していますが、もう次のことまで考えていますね。
ちょっと微笑ましいですね。

火曜日はよくお産のお話をしています。
妊娠中に起こる、いろんな病気のことも重要ですが、
ふつうのお産がどういうものか、というごく当たり前のことを分かっていただく方が先でしょうか。

お産が長引いた初産婦さんで、ご主人も里帰りにも関わらず付き添われていた方が居られます。
最後は、なんとか吸引分娩というもので無事、生まれました。
まるまる2日がかりです。
その妊婦さんを何もしないで放っておいたら、おそらく生まれていなかったでしょう。

これが江戸時代や、現在でも紛争地や途上国などでのお産であればどうでしょう。
もし生まれなければ、お腹の中で胎児が亡くなってしてしまい、
2週間もすれば死胎児稽留症候群という状態になって、
今度はお母さんの血液が固まらない状態になって、
出血のために、お母さんが生命を落としてしまうのです。
妊娠初期の流産でも、胎児が数センチと大きくなっていれば、
同様のことが起こることは有るのですよ。

そこまでいかなくても、みなさん、とくにご主人や、産婦さんのご両親などは、
お産は生まれるのが当たり前だと思っておられることが多いのです。
ですが実はそんなことはなくて、
3人に1人の産婦さんは、普通には赤ちゃんを産むことができないのです。
そんな当たり前のことを、皆さん知られないのですから驚きです。

陣痛が来たら生まれるものだからと思って、親戚中の方が来院されて、
今か今かと待っておられることもよく有ります。
何時頃生まれるでしょうか、と聞かれるのです。
それよりも前に、生まれるかどうかさえ、分からないのですよ。
もちろん普通に生まれなくても、帝王切開さえしてしまえば絶対に生まれる、とは言えるのですが。

お産は生きるか死ぬか、というくらい、壮絶な経験なのですね。
だから産む前の女性の顔と、産んでからのお母さんとなった顔は、劇的に違うのですね。
もっともご主人も一緒にお産を乗り切ることができれば、
ご主人も、お父さんらしくなられるのが不思議ですよ。

マタニティー雑誌などには、普通に楽に産んだ女性の話しか載っていないので、
もしくは笑い話しか載っていないでしょうから、
本当のお産がどんなものか、予習できないのでしょう。
決してお産を過剰に恐れる必要も有りませんが、
予行演習を繰り返してすることで、リスクも分かれば、それを乗り越える術も分かるのです。
それをタマル産では、ソフロロジー教室として、
お産が近づけば、毎週、健診時に練習して帰っていただいているのです。

産後になって初めて、その意味が分かるのかもしれませんが。