９人に１人の病気

上の図は何の図だと思いますか？

世界の性器ヘルペスウィルスの感染者の数なんです。
もちろん実数ではなくて、計算上の値なのですが。
世界のすべての人を検査するわけにはいかないですからね。
これはイギリスのKatharine Looker氏とLori Newman氏らの調査によります。

単純ヘルペスウィルスには、口によくできる１型と、性器にできる２型が有ります。
もっとも混合感染していたり、逆の場合も有るのです。
それはオーラルセックスが原因なのですが。

2012年の世界の感染者は、４億数千万人と推計され、
世界の若者人口の、11.3％、すなわち９人に１人が感染しているというのです。
うち女性が約２／３で、男性が１／３です。女性の方が多いのですね。
ただしこれだけ多いと、特別な病気とは言えませんか。

また2012年の１年間だけでも、新規に２千万人が感染し、
世界人口の0.5%が新たに単純ヘルペス２型に感染していることが判明したのです。
アフリカや東南アジアがとくに多いようです。

単純ヘルペス２型に感染すると、性器に潰瘍を生じます。
潰瘍というのは、水疱が破れたものです。
左右両側の陰唇にくっつくようにできるので、kissing ulcerとも呼ぶのです。
キスしたように、くっついた部分に潰瘍を起こす、という意味です。

ということは、触るだけで感染するということですね。
初めての感染だと、すごく痛くて、尿道口の近くにできると尿でしみて、
場合によっては、尿の出口が腫れて尿が出なくなり、入院する羽目になることもあるのですよ。
体調が悪い場合や、妊娠中は自然によく再発します。
赤ちゃんにうつすと生命に関わりますから、
お産の時に有れば、帝王切開が必要になります。

よく口に潰瘍ができる原因となる単純ヘルペス１型は、
同じようなウィルスですが、こちらは性感染症とは呼びません。
ただし、同様に赤ちゃんにうつしてはいけませんから、
マスクをしないといけませんね。

似た名前で、帯状疱疹ヘルペスウィルスというのが有りますが、
こちらは名前が似ているだけで、もちろんウィルス自体も似ていますが、
これは水疱瘡のことですからね。
ただし、小さい時に初めてなったら水ぼうそうとか水痘と呼び、
大人になって、体の一部にだけブツブツが出るのを帯状疱疹と呼びますが、別の病気ですよ。
妊娠中に初めて水疱瘡になると、少しややこしいですから、またお尋ねください。

話がそれました。
性器ヘルペスは、なんと若者の９人に１人が感染しており、
毎年たくさんの人、とくに女性が感染しているということです。
なぜなるかは理解しましたね。
一番の問題は、妊娠したら赤ちゃんの生命に関わることだということです。

治療薬は抗ウィルス剤です。タマル産にいらしてください。
５日ほどでましになります。