竹取翁と万葉集のお勉強

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古今和歌集 原文推定 巻七

2020年01月19日 | 古今和歌集 原文推定 藤原定家伊達本
奈々末幾仁安多留未幾
ななまきにあたるまき
巻七

以者比乃宇多
賀哥
賀哥

歌番号三四三
多以之良寸
題しらす
題知らず

与美比止之良須
よみ人しらす
詠み人知らず

原文 和可幾三者知世尓也知与尓左々礼以之乃以者本止奈利天己計乃武寸万天
定家 わか君は千世にやちよにさゝれいしのいはほとなりてこけのむすまて
解釈 我が君は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで

歌番号三四四
原文 和多津宇三乃者未乃万佐己遠加曽部徒々幾三可知止世乃安利可寸尓世武
定家 渡つ海の浜のまさこをかそへつゝ君かちとせのありかすにせむ
解釈 わたつ海の浜の真砂をかぞへつつ君が千歳のあり数にせむ

歌番号三四五
原文 志本乃夜万左之天乃以曽尓寸武知止利幾美可三世遠者也知与止曽奈久
定家 しほの山さしてのいそにすむ千鳥きみかみ世をはやちよとそなく
解釈 しほの山さしでの磯に住む千鳥君が御代をば八千代とぞ鳴く

歌番号三四六
原文 和可与者飛幾三可也知与尓止利曽部天止々女遠幾天者於毛以天尓世与
定家 わかよはひ君かやちよにとりそへてとゝめおきては思いてにせよ
解釈 我が齢君が八千代に取りそへて留め置きては思ひ出でにせよ

歌番号三四七
尓无奈乃於保无止幾曽宇志也宇部无世宇尓奈々曾知乃以者比宇
仁和の御時僧正遍昭に七十賀
仁和御時僧正遍昭に七十賀

多万日个留止幾乃於保武宇多
たまひける時の御哥
賜ひける時の御哥

原文 加久之徒々止尓毛可久尓毛奈可良部天幾三可也知与尓安不与之毛可那
定家 かくしつゝとにもかくにもなからへて君かやちよにあふよしもかな
解釈 かくしつつとにもかくにも永らへて君が八千代に会ふよしもがな

歌番号三四八
尓无奈乃美可止乃美己尓於者之末之个留止幾尓於保武遠八乃也曽知乃
仁和のみかとのみこにおはしましける時に御をはのやそちの
仁和帝の親王におはしましける時に御叔母の八十の

以者比尓之呂可祢遠徒恵尓川久礼利个留遠美天加乃於保武遠者尓
賀にしろかねをつゑにつくれりけるを見てかの御をはに
賀に銀を杖に作れりけるを見てかの御叔母に

加者利天与三个留
かはりてよみける
代りて詠みける

曽宇志也宇部无世宇
僧正へんせう
僧正遍昭

原文 知者也布留加美也幾利个武徒久可良尓知止世乃左可毛己衣奴部良奈利
定家 ちはやふる神やきりけむつくからにちとせの坂もこえぬへら也
解釈 ちはやぶる神や伐りけむ突くからに千歳の坂も越えぬべらなり

歌番号三四九
保利可者乃於保以末宇知幾三乃世曽知乃以者比宇久天宇乃以部尓天
ほりかはのおほいまうちきみの四十賀九条の家にて
堀河大臣の四十賀九条の家にて

志个留止幾尓与女留
しける時によめる
しける時に詠める

安利八良乃奈利比良安曽无
在原業平朝臣
在原業平朝臣

原文 佐久良者那知利可比久毛礼於以良久乃己武止以不奈留美知万可不可尓
定家 さくら花ちりかひくもれおいらくのこむといふなる道まかふかに
解釈 桜花散りかひ曇れ老いらくの来むといふなる道まがふがに

歌番号三五〇
左多止幾乃美己乃遠者乃与曽知乃以者比宇遠多保為尓天之个留比与女留
さたときのみこのをはのよそちの賀を大井にてしける日よめる
貞辰親王の叔母の四十賀を大井にてしける日詠める

幾乃己礼遠可
きのこれをか
紀惟岳

原文 可女乃於乃夜万乃以者祢遠止女天於川留多幾乃之良多万知世乃可寸可毛
定家 亀の尾の山のいはねをとめておつるたきの白玉千世のかすかも
解釈 亀の尾の山の岩根を尋めて落つる滝の白玉千代の数かも

歌番号三五一
佐多也寸乃美己乃幾左以乃美也乃以曽知乃以者比宇多天万川利个留
さたやすのみこのきさいの宮の五十の賀たてまつりける
貞保親王后宮の五十賀奉りける

美飛也宇布尓佐久良乃者那乃知留之多仁比止乃者那美多留
御屏風にさくらの花のちるしたに人の花見たる
御屏風に桜の花の散る下に人の花見たる

加多加个留遠与女留
かたかけるをよめる
形描けるを詠める

布知八良乃於幾可世
ふちはらのおきかせ
藤原興風

原文 以堂川良尓寸久寸川幾比者於毛本衣天者那美天久良寸者留曽寸久奈幾
定家 いたつらにすくす月日はおもほえて花見てくらす春そすくなき
解釈 いたづらに過ぐす月日は思ほえで花見て暮らす春ぞ少なき

歌番号三五二
毛止也寸乃美己乃奈々曽知乃以者比乃宇之呂乃飛也宇布尓与美天加幾个留
もとやすのみこの七十の賀のうしろの屏風によみてかきける
本康親王の七十賀の後ろの屏風に詠みて書きける

幾乃川良由幾
きのつらゆき
紀貫之

原文 者留久礼盤也止尓末川左久武女乃者那幾三可知止世乃加左之止曽美留
定家 春くれはやとにまつさく梅花君かちとせのかさしとそ見る
解釈 春来れば宿にまづ咲く梅の花君が千歳のかざしとぞ見る

歌番号三五三
曽世以保宇之
そせい法し
素性法師

原文 以尓之部尓安里幾安良寸者志良祢止毛知止世乃多女之幾三尓者之女武
定家 いにしへにありきあらすはしらねともちとせのためし君にはしめむ
解釈 いにしへにありきあらずは知らねども千歳のためし君に始めむ

歌番号三五四
原文 布之天於毛飛於幾天可曽不留与呂川与者加美曽之留良武和可幾三乃多女
定家 ふしておもひおきてかそふるよろつよは神そしるらむわかきみのため
解釈 臥して思ひ起きてかぞふる万代は神ぞ知るらん我が君のため

歌番号三五五
布知八良乃三世之可武曽知乃以者比尓与三个留
藤原三善か六十賀によみける
藤原三善が六十賀に詠みける

安利八良乃之計者留
在原しけはる
在原滋春

原文 川留可女毛知止世乃々知者志良奈久尓安可奴己々呂尓万可世者天々武
定家 鶴亀もちとせのゝちはしらなくにあかぬ心にまかせはてゝむ
解釈 鶴亀も千歳の後は知らなくにあかぬ心に任せ果ててむ

己乃宇多者安留比止安利八良乃乃止幾者留可止毛以不
この哥はある人在原のときはるかともいふ
この歌はある人在原時春かとも言ふ

歌番号三五六
与之美祢乃川祢奈利可与曽知乃以者比尓武寸女尓加者利天与三者部利个留
よしみねのつねなりかよそちの賀にむすめにかはりてよみ侍ける
良岑経也が四十賀に女に代りて詠み侍りける

曽世以保宇之
そせい法し
素性法師

原文 与呂徒世遠末川尓曽幾三遠以者日川留知止世乃可計尓寸万武止於毛部八
定家 よろつ世を松にそ君をいはひつるちとせのかけにすまむと思へは
解釈 万代を松にぞ君を祝ひつる千歳の蔭に住まむと思へば

歌番号三五七
宇地左布良以乃可美乃美幾乃多以之世宇布知八良乃安曽无乃与曽知乃以者比
内侍のかみの右大将ふちはらの朝臣の四十賀
内侍督の右大将藤原朝臣の四十賀しける時に

之个留止幾尓之幾乃恵可个宇之呂乃飛也宇布尓加幾多利个留宇多
しける時に四季のゑかけうしろの屏風にかきたりけるうた
しける時に四季の絵描け後ろの屏風に書きたりける哥


原文 加寸可乃尓和可奈徒美川々与呂徒世遠以者武己々呂者加美曽志留良武
定家 かすかのにわかなつみつゝよろつ世をいはふ心は神そしる覧
解釈 春日野に若菜摘みつつ万代を祝ふ心は神ぞ知るらむ

歌番号三五八
原文 夜万堂可美久毛井尓美由留佐久良者那己々呂乃由幾天於良奴比曽奈幾
定家 山たかみくもゐに見ゆるさくら花心の行ておらぬ日そなき
解釈 山高み雲居に見ゆる桜花心の行きて居らぬ日ぞなき

奈徒



歌番号三五九
原文 免徒良之幾己恵奈良奈久尓保止々幾須己々良乃止之遠安可寸毛安留可奈
定家 めつらしきこゑならなくに郭公こゝらの年をあかすもある哉
解釈 めづらしき声ならなくに郭公ここらの年をあかずもあるかな

安幾



歌番号三六〇
原文 寸三乃衣乃末川遠安幾可世布久可良尓己恵宇知曽不留於幾川之良奈美
定家 住の江の松を秋風吹からにこゑうちそふるおきつ白浪
解釈 住の江の松を秋風吹くからに声うち添ふる沖つ白浪

歌番号三六一
原文 知止利奈久左保乃加者幾利多知奴良之夜万乃己乃八毛以呂万佐利由久
定家 千鳥なくさほの河きりたちぬらし山のこのはも色まさりゆく
解釈 千鳥鳴く佐保の河霧立ちぬらし山の木の葉も色まさり行く

歌番号三六二
原文 安幾久礼止以呂毛加者良奴止幾者夜万与曽乃毛美知遠可世曽可之个留
定家 秋くれと色もかはらぬときは山よそのもみちを風そかしける
解釈 秋来れど色も変らぬ常盤山よその紅葉を風ぞ貸しける

布由



歌番号三六三
原文 之良由幾乃布利之久止幾者三与之乃々夜万之多可世尓者那曽知利个留
定家 白雪のふりしく時はみよしのゝ山した風に花そちりける
解釈 白雪の降りしく時はみ吉野の山下風に花ぞ散りける

歌番号三六四
者留乃美也乃武万礼多万部利个留止幾尓万以利天与女留
春宮のむまれたまへりける時にまいりてよめる
春宮の生まれ給へりける時に参りて詠める

奈以之乃寸个布知八良乃与留可乃安曽无
典侍藤原よるかの朝臣
典侍藤原因香朝臣

原文 美祢堂可幾加寸加乃夜万尓以川留比者久毛留止幾奈久天良寸部良奈利
定家 峯たかきかすかの山にいつる日はくもる時なくてらすへらなり
解釈 峰高き春日の山に出づる日は曇る時なく照らすべらなり
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