知っている人は知っている東欧チェコ・スロバキア(当時)のコンピレーション盤。世間的には余り知られていないと思われる彼の地のピアノ・トリオ5組と、トリオにパーカッションを加えたカルテット1組にスポットを当て、現地の国営レーベルSupraphonにて68年に製作された作品です。コンセプト的にも資料価値的にも、おそらくビアンキやダウナーが参加した独Sabaの有名盤Piano×4のチェコ版と言う位置づけで良いと思われますが、あちらの盤に比べ全体的に統一感のある仕上がりになっていて、アルバム通して綺麗に纏まった一枚となっています。ちなみにライナーは英語で書かれているので、もしかしたら当時は世界市場を意識して製作されたものなのかもしれませんね。なお、このライナーを読むところによると、B面に収録されているヨーゼフ・ブラハ・トリオとカレル・ルズィッカ・カルテットは、それぞれグスタフ・ブロム楽団とカレル・クラウトガートナー楽団の参加者により構成されている模様。どちらも当時のチェコを代表するオーケストラなので、おそらく現地ではそれなりに名の知れていた人たちなのだと思います。この彼らを含めた6組のコンボがそれぞれスタンダード曲と自作曲を一曲ずつ演奏するというのが全体の基本的な構成。ただ、スタンダード曲とは言えど、どの組もわりと新鮮なアレンジを施してあるので、なかなかに聴き応えのある作品に仕上がっています。特に面白いのがB-4のSecret Love。演奏は上記のカレル・ルズィッカ・カルテットで、耽美的なイントロから一転、まるでフランシー・ボランらによる名演Dark Eyesの如く縦横に揺れる、スリリングでグルーヴィーなピアノ・ジャズが繰り広げられています。クラシック・ピアノのようなイントロで始まるB-5のNight And Dayもなかなか。こちらはリュデック・スヴァベンスキー(?)なるピアニストの演奏で、いかにもヨーロッパ的な繊細なピアノ・タッチが美しいです。クラブ的にはラディスラフ・ゲルハルトらによるA-3のWoody'n youが、ボサノバを取り入れたグルーヴィーな演奏で良い感じ。こちらは以前、須永氏による夜ジャズ<裏>にも収録されていましたね。ちなみにその他の曲もオリジナル含め全体的にかなり水準と言うかIQ高めです。ヨーロッパの洒落たピアノ・トリオを思う存分に堪能したい人には、是非ともオススメの一枚。気になる方は探してみてください。
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