土曜日(3月11日)は大学病院外科の先生が日当直をしていた。午前中に内科医院から発熱のある84歳男性の診療依頼が来た。
医院に高血圧症・糖尿病で通院している。火曜日の定期の受診をしたが、その翌日から咳・痰が増えて、食欲も低下した。その日38℃の発熱があり、医院に連絡したという経緯だった。
症状から肺炎疑いになる。意識は清明で酸素飽和度の低下はなかった。食欲低下があるが、水分はとれる。
発熱外来扱いなので、コロナとインフルエンザの迅速検査をしてから(ともに陰性)、画像検査・血液検査が行われた。
胸部X線(正面像)では左下肺野に肺炎疑われるが、はっきりしない。胸部CTでは左下肺野背側に小さな浸潤影が散在していた。右下肺野にもわずかにありそうだ。
胸部X線(正面)で陰影を指摘するのは難しそうだが、側面像をみれば指摘できるのかもしれない。ただ、画像のオーダーをする時に、大抵は胸部単純X線と胸部CTを同時に入れてしまう。
放射線科の都合で、撮影はCTが先だったすることもある。そうなると胸部単純X線は、入院後に陰影の変化をみるための、比較用の画像になってしまう。
血液検査では白血球11700・CRP20.9と、CRPが画像から想定されるより随分な高値を呈していた。土曜日の当番は、日曜日日直の内科の若い先生だった。外科の先生が土日分の抗菌薬(スルバシリンABPC/SBT)を出してくれていて、翌日の日曜日には解熱していた。(eGFR76と通常量投与のところ、1日2回投与にしていたが)
当方も肺炎や肺炎疑いはほぼ必ず胸部CTを行っている。(超)高齢者が多く見逃せないという事情もあるが、習慣的なオーダーになっている。
高齢者(80歳代以上が多い)が救急搬入されると、頭部CTと胸腹部CTを撮影することが多い。「生きているうちからAI=Autopsy imaging ですか」といわれそうだが、随分と助けられている。(公には推奨できない)
以前に、会話も可能で頭痛・嘔気はないが、動けない食べられない高齢者(80歳後半の女性)が搬入された。救急当番だった整形外科の若い先生に、入院治療を依頼された。
頭部CTを行うとすぐに処置が必要な慢性硬膜下血腫(健側を圧排)があり、整形外科の先生が驚いていた。実はルーチン?で撮影しただけだった(脳委縮の程度、陳旧性脳梗塞の有無を診るためではある)。