なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

尿カテーテル抜去後に高熱

2023年03月28日 | Weblog

 脳神経内科の外来に脊髄小脳変性症で通院していた87歳は、昨年末にCOVID-19に罹患して入院した。

 感染病棟入院中から経口摂取は難しかった。隔離期間が解除となって、一般病棟に転棟してから聴覚言語療法士(ST)が介入して嚥下訓練を行ったが、やはり経口摂取は難しかった。誤嚥性肺炎で治療もしたが、経口摂取しなければ、喀痰吸引はほとんど不要だった。

 四肢をかなり動かすので、内頚静脈の穿刺を断念して、大腿静脈からCVカテーテルを入れて高カロリー輸液を行っていた。1か月は安定していたが、カテーテル関連血流感染を来した。血液培養2セットからMRSAが検出された。バンコマイシン投与で軽快・治癒した。

 内頚静脈からの穿刺も考慮したが、やはり穿刺時に抑えるのが難しいだろうということで、やむを得ず反対側の大腿静脈からCVカテーテルを挿入した。またカテーテル関連血流感染を来して、今度はMRSEが検出された。またバンコマイシンを投与した。

 PICCを行っている先生もいるので、依頼することも考えた。最終的には、胃瘻造設による経管栄養を行った方がいいだろうと判断した。胃瘻造設も経管栄養も問題なく施行できた。

 家族は妻と娘さんだが、在宅で介護は困難なので、療養型病床のある病院への転院を手配して、最終的には施設入所の方針となった。

 

 大腿静脈からのCVカテーテル穿刺だったので、尿カテーテルを留置していた。抜去しても自尿はあるので、経管栄養が上手くいった段階で抜去した(もっと早期に抜去すべきだったか)。

 すると翌日に高熱と悪寒・戦慄が生じた。酸素飽和度の低下はなかったが、血圧が一時低下して(60台)、急速輸液(1000mlで血圧80~100mmHgで、1500mlで100mmHg台へ)を要した。

 導尿で白色~黄白色の膿尿が採取されて、尿路感染症(敗血症性ショック相当)による症状だった。尿カテーテルは異物なので、自尿があれば本来は抜去が好ましいが、残尿が多く、むしろ尿カテーテル留置の方がドレナージが効いて効果的だった。

 以前に提出した尿培養の結果は緑膿菌・大腸菌だった。院内感染でSPACEカバー(尿路感染なので嫌気性菌カバーは不要)を要するので、第4世代セフェム(当院はセフォゾプラン)で治療を開始して、翌日には解熱して血圧も通常通りとなった。

 経管栄養を再開して、抗菌薬だけ点滴静注としていけそうだ。(末梢血管が細くて看護師泣かせの患者さん)

 

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