なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

小脳梗塞

2023年03月08日 | Weblog

 月曜日の当直は皮膚科医だった。当直終わりの火曜日の午前7時過ぎに、自宅で動けなくなったという86歳女性の救急搬入を受けていた。一通りの検査を行って、火曜日午前中の救急当番だった当方に、後はよろしくと連絡が来た。

 

 当院の整形外科で両側膝関節の人工関節置換術を受けていた。(現在は外科系手術自体ができないが、当時膝関節専門の整形外科医を招いての手術)。娘夫婦と同居していて、ふだんは室内はなんとか自力歩行できていたそうだ。

 市内のクリニックに通院していて、高血圧症・糖尿病・高脂血症・心房細動(DOACのリクシアナ)・心不全(アゾセミド・スピロノラクトン)で処方されている。(心房細動は心電図で確認した)

 

 前日は右膝が痛いと言って湿布をしていたが、それ以外は特に変わりがなかった。その日の午前5時半ごろに自室でうなっているのを娘の夫が気づいた。行ってみると、いざるようにしてトイレに行こうとして動いていたが、尿失禁していた。

 娘さんの話では、呂律が回らないようだという。意識は清明で会話は確かに少し呂律が回らないようにも聞こえる。ふだん接している人が言うのだからあるのだろう。

 両下肢の挙上と両手の挙上は稚拙だができる。運動失調はどうかというと(結果的にはあるはずだが)ふだんがわからないので、有りと決められない。

 右膝に熱感があり、軽度に腫脹もある。炎症反応の上昇があるが、胸部X線で肺炎像はなく、尿混濁もなかった。関節炎でのADL低下も考えられた。胸部CTでも肺炎はない。

 頭部CTで出血はなく、脳梗塞は指摘し難い。MRI担当の技師さんに訊くと、MRIは11時になら入れられるという。オンコールで入れて、臨時で入れた上部消化管内視鏡検査などを行ったり、施設入所者(退院1週間後)の発熱の対応をしていた。

 

 放射線科の技師さんから連絡が来て、頭部MRIで小脳梗塞を認めるという。画像を確認すると、左小脳に広範囲の梗塞があり、虫部と右小脳にも梗塞がある。右後頭葉にもラクナ梗塞様の小梗塞があった。FLAIRでも描出されていたので、昨夜就寝後には発症していたのだろう。

 MRAでは両側椎骨動脈~脳底動脈~両側後大脳動脈は描出されている(左後大脳動脈は狭窄あり)。小脳動脈はよくわからない。

 椎骨脳底動脈系への血栓塞栓症が疑われる。小脳梗塞として範囲が広いので、急性期は専門医に依頼することにした。地域の基幹病院脳神経内科に連絡すると、受けてくれたので救急搬送した。

 

 通常は急性期後に回復期リハビリ病棟で受ける。3月で脳神経内科が閉科になり、リハビリ病棟の運営も未定という事情がある。一般病棟で内科で受けるようになるかもしれない。

 

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