なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

同室者が結核だった

2023年03月13日 | Weblog

 地域の基幹病院から、1月に当院に転院した患者さんのことで連絡が入った、と地域医療連携室から報告があった。入院中の同室者が結核だったことが判明したという。

 

 患者さんは78歳男性で、消化器科の外来に通院していた。昨年12月27日に食事がとれないと受診して、右鼠径ヘルニア嵌頓による腸閉塞をきたしていた。同日基幹病院の外科に紹介となった。

 術後の1月19日に、廃用症候群に対するリハビリ目的で当院に転院してきた。外来主治医で搬送した消化器科医がそのまま担当となった。

 転院時の胸部X線で肺野には異常がなかった。呼吸器症状もない(痰が出せるかどうかわからない)。転院後2か月弱経過しているが、特に変わりはないようだ。経過をみて、検査を追加してもらうことにする。

 

 この患者さんは、それ以外にもさまざまな問題があった。ヘルニア嵌頓の前から認知力低下とうつ症状で、精神科病院への紹介について相談している。消化器科医は抑肝散を処方していた。

 基幹病院入院中に、術後ということもあるが、不穏があったらしい。精神科医がいる病院なので、抗精神薬がしっかり処方されていた。転院時にはロナセンテープ20mgが2枚、デパケンR200mg/日、さらにデジレル25mg2錠・デエビゴ5mg1錠・ロゼレム8mg1錠が夜間不眠に対して出ていた(就寝前ではなく、夕食後に内服させる)。

 頭部CTでは脳血管障害はなく、脳委縮のみだった。アルツハイマー型になるのだろうが、陰性症状が目立つタイプだったのか。

 ヘルニア発症時のCTで胸水貯留と心嚢液軽度貯留もあり、心房細動でも治療していた。(転院時には軽快していた。腸閉塞が影響した?。)

 泌尿器科にも通院して、前立腺肥大症の処方も受けている。7年前に血清PSA高値から前立腺癌が疑われた。MRIで疑いはあるが診断確定できず、前立腺生検を基幹病院泌尿器科で受けている。1回目の生検では診断がつかず、翌年の2回目の生検で癌と診断された。ホルモン療法+放射線治療で治療されて、現在再発は認めない。

 人に歴史ありというか、人に病歴ありだなあと思った。

 

コメント
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