なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

鼠径ヘルニア嵌頓

2023年03月15日 | Weblog

 月曜日の午後4時過ぎに、腹痛・嘔吐の97歳女性が救急搬入された。午後は腎臓内科の若い先生(大学病院から3か月交代)が救急担当だった。

 2日前の土曜日に嘔吐があり、日曜日は症状が治まっていたらしい。月曜日にも嘔吐があり、救急要請した。腹痛は自制可なのだろう。

 腹部単純X線(臥位)で腸管の拡張像があり、腹部CTで右鼠経ヘルニアの嵌頓像を認めた。腹部所見は反跳痛なしとのみ記載していたので、ヘルニアの膨隆には気づかなかったのかもしれない。

 検査しているうちに時間外になり、当直だった別の腎臓内科の若い先生(常勤)が引き継いで、地域の基幹病院外科に搬送していた。

 

 この患者さんは、ふだんは高血圧症・糖尿病・てんかんで隣町の医院に通院している。降圧薬はCa拮抗薬のみ、糖尿病はDPP4阻害薬+SGLT2阻害薬の合剤が処方されている。DOACと利尿薬が処方されていることから、心房細動・心不全としての治療のようだ(搬入時心電図はとっていない)。

 抗てんかん薬としてぺランパネル(フィコンパ)も処方されていた。医院の先生は高齢なので、どこか専門病院での処方を継続しているのかもしれない。

 脱出した腸管の周囲に軽度に浸出液が出ている。緊急手術を行うのか、DOACを休止して翌日の手術になるか。ADLも年齢の割に良好でバイタルは問題なかったが、97歳の手術は大変だ。

 

 高齢女性が食べられなくなったと受診して、嘔吐も腹痛もなかったが、CTで閉鎖孔ヘルニアだったこともある。嵌頓すれば嘔気・嘔吐や腹痛が生じるが、そうでなければ腸閉塞としての症状がはっきりしないこともある。

 

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