なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

コロナ後の死亡

2023年03月11日 | Weblog

 月曜日に入院していた99歳女性が亡くなった。入院したのは1月17日で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)だった。

 介護施設に入所していたが、施設内でCOVID-19のクラスターが発生した。1月15日に発熱があり、施設内の検査でCOVID-19 と診断された。

 施設内でクラスターが発生した時は、原則施設内で経過をみることになる。発熱の持続・食欲不振・酸素飽和度低下がある入所者だけ入院調整される。

 この方は99歳という年齢の問題もあり、食事摂取できないので、発症3日目には保健所から入院依頼が来た。その日のうちに感染病棟に入院した。

 胸部CTで左胸水があるが、おそらく以前からあるのだろう。淡いすりガラス陰影が散在しているように見える。レムデシビル点滴静注と点滴で治療を開始した。1月20日には解熱した。

 開眼はしているが、ほとんど発語はない。経口摂取は困難だった。1月27日に隔離解除となり、一般病棟に転棟となった。聴覚言語療法士(ST)介入で嚥下訓練を行ったが、経口摂取は難しかった。

 

 家族と相談したが、高カロリー輸液や経管栄養は希望されなかった(こちらとしてもお勧めし難い)。そのまま末梢静脈からの点滴で経過をみることになった。(血管が持たないかと思ったが、アミノ酸製剤も点滴できた。)約1か月くらいの経過で亡くなった時は、「老衰」と記載するするようになる。

 家族としては、せっかくここまで生きたので、切りのいいところで?100歳まで生かしたいとも言っていた。半年以上あるのでちょっと遠いですね、となった。

 2月10日に高熱があり、胸部X線(ポータブル)で下肺野に肺炎があるようだ。これで亡くなられたら「誤嚥性肺炎」と記載することになる。幸いに抗菌薬を開始すると、3日で解熱して1週間で抗菌薬を中止できた。

 しばらく安定していたので、これで次第に下降線をたどれば、「老衰」になるかと思われた。

 3月になってすぐに高熱が出現して、酸素飽和度が低下した。誤嚥性肺炎として再度抗菌薬を開始して、解熱傾向だったが、結局亡くなられた。酸素飽和度低下は死亡するほどではないので、全身状態の悪化なのだろう。

 

 病棟の看護師長さんに、「コロナで亡くなったことになりますか」と訊かれた。コロナとしては軽快治癒している。きっかけはそうだったかもしれないが(全身状態のレベルが一段階落ちた)、直接死因としては誤嚥性肺炎とした。

 毎日のようにコロナでの死亡者が発表されるが、あれは発症後1週間~10日以内の死亡なのだろうか。80歳以上の高齢者だと、症状が治まっても経口摂取ができない動けないとして入院継続しているうちに、細菌性肺炎になったり心不全になる。

 発症から1か月以上経過して悪化していれば、コロナによる死亡とはし難いと思う(コロナ関連死?)。すでに一般病棟にいて、家族の面会も許可しているので。

 

コメント
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