月曜日の夕方に皮膚科医から相談された。3月1日に右下肢(足関節内果部)の皮下膿瘍でに入院していた83歳男性のことだった。
皮下膿瘍は切開をして、抗菌薬内服(セファレキシン)で治療していた。入院時に38℃の発熱があったが、その後は平熱~微熱で経過していた。酸素飽和度は90~92%(室内気)だった。
急に食欲が低下して、炎症反応の上昇もあり、頭部CTと胸腹部CTを撮影したそうだ。入院後にも転倒・頭部打撲があった。頭部CTで硬膜下水腫と少量の血腫があった(慢性+急性)。
胸腹部CTでは左肺に広範な陰影があり、放射線技師さんがびっくりしていたそうだ。
どんな患者さんが確認すると、相当な既往歴があった。2017年に食道癌の手術を受けていた(胸部食道癌で胃管再建術)。5年経過して明らかな再発はなさそうだが、まだわからない。
2020年に心原性脳梗塞で入院している。心電図をみると心房細動で、糖尿病外来からDOACが処方されていた。2015年に前立腺癌で放射線療法を受けていて、現在は地域の基幹病院泌尿器科に通院している。デキサメサゾンがまだ処方されているので、治癒してはいない。
右肺下葉背側は浸潤影で誤嚥性肺炎と判断される。左肺全体に陰影が広がっているが、誤嚥性肺炎から進行して胸水貯留・無気肺になっていたものだろう。
外来通院時の胸部X線で心拡大と胸水貯留があり、心房細動・慢性心不全の状態だった。肺炎による心不全の悪化が加わっている。
一見して明らかな悪化ではなく、くすぶるように進行していって、やっと判明した?ということだった。著明な低蛋白血症もあり、浮腫で末梢静脈からの点滴も困難になってきている。できる範囲で治療してみるしかないが、厳しい病状だった。