なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

穿孔性腹膜炎

2022年01月03日 | Weblog

 12月31日に前胸部痛を訴えて52歳女性が救急外来を受診していた。その日の朝からの症状だが、それ以前にも同様の症状を繰り返していた。

 大学病院外科のバイトに来ていた先生が診た。バイタルサインは問題なく、前胸部に圧痛(?)があった。体動時に悪化するという。

 心電図は正常だった。超音波で心臓の動きを見て、エコーでわかるような腹部疾患も検索したが、異常はなかった。

 患者さんは、同じ症状で他院で精査しているので、痛み止めをもらえばいいと言っていた。ロキソニンが効くと言うので、ロキソニン(と胃薬のレバミピド)を処方していた。

 

 翌1月1日に痛みが強くなって、再受診した。受付をして待っている間にさらに痛みが強くなり、歩行もできないくらいだった。日直はちょうど当院の消化器科医だった。

 上腹部に強い痛みがあり、筋性防御ありと判断された。立位で腹部X線を撮影するのも困難で、胸腹部造影CTが行われた。腹腔内遊離ガスを認めて、胃壁が厚くなっていた。

 胃後壁の輪郭がわかりにくく、膵臓が裏打ちしているような形だった。胃潰瘍あるいは胃癌の穿孔による急性腹膜炎だ。

 (遊離ガスを認めてから採血した)血液検査でHb3.4g/dl(MCV62.5)と著明な小球性貧血を認めた。タール便の有無を訊かれると、黒い便があったという話が出た。

 輸血と緊急手術を要する状態だった。地域の基幹病院に連絡して、搬送となった。先方も1月1日から大変だ。ただただ感謝。

 

 結果的には前日の対応がよくなかったことになる。受診多数の中でそれなりに対応はしていたが、案外貧血に気づかないのだった。最近便が黒いとは、こちらから訊かないと言ってくれないものだ。

 

コメント (1)
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