地域の基幹病院循環器内科から、うっ血性心不全の84歳男性がリハビリ目的で転院してきた。COPDがあり、当初は昨年11月に肺炎で呼吸器内科に入院したが、それを契機に心不全が悪化して循環器内科に転科になっていた。
酸素飽和度は92%(室内気)で低下していた。リハビリ後はまた先方の病院の外来に通院するが、在宅酸素療法の導入予定とあり、当院入院中に労作時の低酸素で導入になるかもしれない。
既往歴として、AAEに対してCabrol手術、その後MVR(機械弁)・TAP・CABG、と簡潔に略語で記載されていた。MVRは僧帽弁置換術mitral valve replacementで、CABGは冠動脈バイパス術coronary artery bypass graftだが、他は?。
AAEは胸部大動脈瘤の分類のひとつで大動脈弁輪拡張症annulo-aortic ectasia、TAPは三尖弁輪縫縮術tricupsid annuloplastyだった。大動脈・大動脈弁、三尖弁、僧帽弁、冠動脈と、循環器病センターで難しい手術を次々に受けていたのだった。
2017年当院に循環器科があったころに、うっ血性心不全で入院していた。処方はダイアート30mg・セララ25mgに、サムスカ(7.5mg)0.5錠の追加で改善したとあった。その処方を外来で継続していたが、循環器科の閉科とともに、基幹病院に紹介していた。
今回の処方は、ダイアート30mg・セララ25mgは同じだが、ARNIのエンレスト100mg錠1錠分2と、SGLT2阻害薬のフォシーガ5mgが入っていた(糖尿病はなく心不全として)。いかにも今どきの処方なのだった。
久しぶりに山下武志先生の著書を購入した(題名は村川裕二先生っぽい)。ARNIとSGLT2阻害薬で、2021年から心不全の治療が画期的に変わったそうだ。
最近ARNI(アーニー)の講演会がよく開かれているとは思っていたが、web講演会は学会以外はあまり聴いていなかった。来月にARNIの講演会があるので、参加することにした(腎臓内科の視点だが)。