木曜日に内科医院から肝細胞癌の81歳男性が紹介されてきた。食事摂取低下・体重減少・体動困難となって、浮腫もあった。緩和ケアをお願いしたい、とあった。
14年前に虫垂炎になった際の検査で、肝細胞癌(C型肝炎)と診断された。当時は肝切除もできる外科医がいたので、当院で肝切除術を行った。
その後は内科医院に紹介されていたが、一昨年に医院で行った腹部エコーで肝腫瘍を指摘された。患者さんが治療拒否したために、そのまま経過観察になったそうだ。(再発とされたが、時間的には異時性に発生したのだろう)
今回は2か月前からころびやすくなり、2週間前からは下肢筋力低下もあり、歩行できなくなった。夜間に声を上げたりして、家族が困るようになった。食事摂取量も低下して、次第に痩せてきた。両下腿の浮腫も目立つようになった。
肝細胞癌の進行による症状として違和感がある。脳血管障害や、転倒しやすくなったことから硬膜下血種が疑われた。頭部CTを行うと、慢性硬膜下血種を認めた。対側を圧排するほどではない。
腹部CTでは肝腫瘍が増大していて、AFPが8500と著明に上昇していた。正しくは地域の基幹病院に紹介して、脳外科・消化器内科で診てもらう必要がある。
家族と相談すると、精査・治療を拒否してきたので、今更希望はしないそうだ。入院のつもりですっかり準備をしてきていた。とにかく病院で預かってもらえばいいということだった。脳外科でも、この病状でおそらく手術はしないだろう。
入院で経過をみるが、病状は次第に進行するものであり、急変の可能性(肝癌破裂・食道静脈瘤破裂、血種の悪化)もあると伝えた。