火曜日の救急当番の時に、高齢女性が3名救急搬入された。
98歳女性は前週の金曜日から上背部痛があり、外科クリニックを受診していた。ロキソプロフェン内服と湿布が処方されたが、痛みが続いて、動けなくなって救急要請した。
杖やシルバーカーを押して歩行できていたそうだ。搬入されてから、ずっとしゃべり続けていた。とにかく全身が痛いと言ってしまうので、痛みの部位の同定が必要だった。
両上肢は拘縮があるが、同程度には挙上できた。両下肢は伸展させて挙上できる。肩関節・肘関節・手関節、股関節・膝関節・足関節は問題ないようだ。
背部は胸椎の半ばあたりに明らかな圧痛があった。頸椎を触っても、腰椎を触っても痛いと言うが、痛そうな様子はない。何度か胸椎を押したが、同じ部位に確かに圧痛がある。
転倒したり、しりもちをついたと言うことはないと主張していた。きっかけは不明だが、胸椎圧迫骨折が疑われた。
MRI検査は午前中いっぱいだった。担当の放射線技師さんに相談すると、1時間半くらい待てば、入れてもらえることになった。
通常の頸椎・胸椎X線ではよくわからない。内臓疾患(左下肺野の肺炎疑いがあった)否定のために、頸部から腹部までCTで確認したが、問題ないようだ。第6頸椎に圧迫骨折があるが、CTでは急性か陳旧性が判別し難い。
MRIで確認すると、確かに第6胸椎に新鮮な圧迫骨折が証明できた(T2脂肪抑制画像)。整形外科外来に行って、診察をお願いすると、外来が続くので入院させておいて、と言われた。
他には、整形外科クリニックで理学療法中に血圧が一時的に低下(60mmHg)した80歳女性が、搬送されてきた。クリニックで横臥させて、点滴をしていて、すでにその時点で血圧は110まで戻っていた。
当院搬入時は血圧150になっていて、胸部苦痛を訴えた。過呼吸になっていて、血液ガスで二酸化炭素分圧が低下してアルカローシスを呈していた。
この年齢では二次的に過呼吸になったと判断される。心臓大動脈疾患・肺疾患を疑って検査したが、有意な異常はなかった。少し休んでもらうと、過呼吸は治まり、症状はすっかり消失していた。
さらに心肺停止の91歳女性が救急搬入された。お正月から食事摂取が難しくなり、すっかり寝たきり状態になっていた。発語もなく、うなずく程度だったそうだ。
家族がオムツを交換しようとして、反応がないのに気付いて救急要請をした。救急隊到着時は心肺停止・瞳孔散大だった。救急隊も人工呼吸はアンビュバックで行っていたので、蘇生術に反応するとは思っていなかったのだろう。
気管挿管・人工呼吸にアドレナリン注などを行ったが、蘇生術にまったく反応せず、死亡確認となった。死亡後のAutopsy imagingを行ったが、頭部も胸部も有意な異常はなかった。心筋梗塞による休止なども否定はできないが、状況から老衰と判断された。