なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

違和感のある肺炎(その後)

2022年01月31日 | Weblog

 昨日の日曜日はICD(infection control doctor)講習会に出てきた。今どき感染症関連の学会でwebではなく、完全に現地出席だけで行うのは珍しいかもしれない。

 ICD講習会は参考になることはあまりないので、ほとんど更新の点数稼ぎだけになる。話題はCOVID-19ではあるが、ICNの感染対策の話でも飛沫感染と言っていたので、違うなあと思いながら聴いていた。(感染管理ナースは正確にはincection control nurse=ICNではなくて、Certified nurse infetion control=CNICだが、通称はICN) 

 ふつうICD講習会は多数の医師が更新の点数稼ぎに来るので、受付時は行列ができるが、今回は珍しくまばらだった。

 

 1月26日に記載した「違和感のある肺炎」の患者さんのその後。

 1月23日に両側肺炎で入院した。両側肺に経気道散布したと判断される粒状~斑状影が散在していた。白血球10200・CRP2.4だった。セフトリアキソンとアジスロマイシンで治療を開始している。

 入院後は37℃後半から38℃の発熱が続いていた。3日目の1月25日の血液検査で白血球10500・CRP24.5とCRPが上昇した。入院時から酸素2L/分を継続していたが、酸素飽和度の低下はなかった。胸部X線像はほぼ同じ。食事は全量摂取している。

 抗菌薬をゾシン(PIPC/TAZ)に変更して、1月26日は白血球8600・CRP20,0になっていた。若干解熱傾向?で、酸素飽和度は同じだった。(検査の間隔がちょっと変だが、これは担当の内科の若い先生が木曜・金曜と不在だったため)

 1月27日に呼吸器外来に来ていた、感染症科の先生に相談したところ、「確かに違和感があります」ということだった。筋原性高清酵素の上昇、下痢症状からレジオネラ肺炎も疑われる、と言われた。アジスロマイシン効いていた可能性もあるそうだ。抗菌薬はレボフロキサシンではどうかというアドバイスだった。

 しかし、尿中レジオネラ抗原を再検したが、やはり陰性だった(当院のは血清型1以外もカバー)。そしてその日ははっきりと解熱していた。患者さんは元気だった。1月28日には患者さんからぐっと良くなりましたと言われた。

 ゾシンが効いているようだ。セフトリアキソンが効かなくて、ゾシンが効いたとすれば、緑膿菌などのいわゆるSPACEといわれる菌か、セフトリアキソンが効きにくい口腔内嫌気性菌となるが、それは考えにくい。セフトリアキソンは効いていたのではないか。

 1月29日(土)に若い先生が病院に来て、検査結果を確認することにしていた。結果が良ければ(良くなりそうだった)、ゾシン継続でもいいかもしれないと記載しておいた。

 1月29日(土)の検査では白血球7100・CRP9.9と軽減していた。そのままゾシン継続となった。

 

 入院時からの経過を振り返ると、発熱は続いていたが、酸素飽和度の低下はなかった。(食事摂取は入院時から良好)入院した日の朝からの発症で、急性発症になる。

 3日めのCRP著増は発症からの日数(時間)の問題だったようだ。ゾシンに変更した翌日の白血球・CRPからみて、ピークを過ぎているが、それはゾシンの効果ではないようだ。

 セフトリアキソンが効いていたが、日数の問題ですぐには解熱せず、4日経過して解熱したということらしい。喀痰が出なくて培養は提出できず、尿中肺炎球菌抗原は陰性なので、起炎菌は証明できない。画像からみれば、気管支肺炎の散在になるので、インフルエンザ桿菌かもしれない。

 患者さんの希望もあって、抗菌薬内服(AMPC/CVA)で退院外来治療になった。結果的にはCRPに惑わされた?。

 

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