なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「熱が出て関節が腫れて、偽痛風です」

2022年01月18日 | Weblog

 月曜日に2つの病棟から、入院患者さんの発熱について報告があった。

 一人は85歳男性で、認知症の徘徊で戸外で倒れているところを発見された。地域の基幹病院に救急搬送されて、低体温症として治療されて改善したが、一人暮らしで退院にできなかった。

 福祉サービスの手続きとリハビリ目的で当院に転院していた。リハビリを行って、介助で何とか歩行できるようになっている。夜間の軽度せん妄があり、デジレルを処方している。リハビリ継続で、施設入所待ちだった。

 先週の土曜日から37℃後半の発熱があり、右膝の腫脹・疼痛があった。食事摂取は問題なく、元気だった。病棟の看護師さんから、「右膝の偽痛風のようです」と報告があった。

 右膝に有意な熱感があり、腫脹していた。ただし、左膝にも腫脹・熱感があるが、痛くはないという。膝関節のX線を見ると、左の方が関節内石灰化がわかりやすかった。

 偽痛風疑いとして、NSAIDs内服(セレコキシブ)と湿布の貼付を開始して解熱している。

 

 別の病棟では、肺炎・心不全で入院した89歳女性が日曜日から39℃の発熱があった。陳旧性心筋梗塞があり、輸液の量が多いと胸水貯留になり、利尿をかけすぎると脱水・食欲不振になって調整が難しかったが、何とか落ち着いた。

 月曜日にも38℃の発熱があった。ただ、食事摂取量には問題なく(右手の痛みで食事介助にはなった)、熱の割に元気だった。病棟の看護師さんから、「右手が腫れて偽痛風のようです」と報告があった。

 確かに右手関節の尺側の疼痛があり、発赤・腫脹を認めた。点滴部位に血管炎を来したり、穿刺部位周囲が発赤したりしていて、蜂窩織炎も考えたが違うようだ。

 明らかに一点に圧痛があり、手関節の他動で痛みがある。関節炎でいいようだ。単関節炎ではあるが、部位的に化膿性関節炎が考え難く、確かに偽痛風が考えられる。

 NSAIDs(セレコキシブ)内服と湿布貼付で治療を開始して、今日は解熱している。ただし、NSAIDsの内服は短期間に留めないと腎障害・心機能への影響が危惧される。

 

 それにしても高齢者の関節炎として、偽痛風は看護師さんの間で知れ渡ったということか。高齢者の発熱では、「関節炎・蜂窩織炎はないか」、「偽痛風ではないか」と当方が騒ぐので、教育的効果があった?。

 

コメント (1)
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