なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

原発不明癌・多発性骨転移

2018年07月05日 | Weblog

 お昼に製薬メーカーに院内説明会に出ていると、地域の基幹病院の腫瘍内科医から連絡が来た。転院ではなく、外来からの入院依頼の紹介だった。

 関節リウマチで先方の病院(リウマチ膠原病外来)に長年通院している87歳女性だった。腰痛・骨盤痛が続いて、家族が担当医にお願して整形外科に紹介してもらった。整形外科で行ったMRIで病的骨折が疑われた。シンチの結果、主には脊椎・骨盤に転移巣が多発していた。四肢骨にもある。

 腫瘍内科で造影CT検査を行ったが原発巣は指摘できなかった。腫瘍マーカーもまったく異常がなく、免疫電気泳動でもM蛋白は検出されなかった。

 患者さんはひとり暮らしだった。夫はすでに亡くなっていて、娘3人はそれぞれ嫁いでいる。疼痛で家事はできず、介護が必要な状態なので、緩和ケアでの入院しかなかった。

 鎮痛薬としてアセトアミノフェン・NSAID・トラマドールが処方されていたが、それでも疼痛が治まっていない。オキシコドンを10mg/日から開始することにした。

 キーパーソンは一番近くに住んでいる三女で、疼痛が出現してから診断されるまで時間的に大分かかったと言っていた。MRIをとれば存在診断はできそうだが、リウマチで通院しているので、他疾患が発症していることが分かりにくいのだろうと思う。

 通常見る癌の形ではないので、経過を見ないと予後が予測できない。明らかな内臓疾患はないので、経過が長くなる可能性もある。最期まで診せてもらうつもりだが、長期になると療養型病院に回ってもらうこともあると伝えておいた(ちょっとずるいけど)。

 

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