先週木曜日、胃癌・幽門狭窄の患者さんにCVカテーテルを挿入するため放射線科に行った。なかなか患者さんが病棟から降りて来ないので、CT撮影を見ていた。すると見憶えのある患者さんがCT検査を受けに病棟からベットで降りて来た。
内科に糖尿病で通院している、肝細胞癌と診断された77歳男性で、先週肝切除術(前区切除)を受けた。術後に高熱があり、胸部CTで両側肺背側に浸潤影を認めて、術後肺炎をきたしていた。手術そのものは順調で、誤嚥するような人ではないが、慢性閉塞性肺疾患があった。
喫煙を続けていて、禁煙を勧めたが、こればかりはやめられませんと言っていた。咳・痰・息切れで困っているわけではないが、風邪をひくと咳が長引くという。手術前の肺機能検査では1秒率64.0%と閉塞性障害があった。
こんなところで影響が出てくるとは、やはりCOPDは侮れない。これで禁煙する気になるだろうか。術後にセフメタゾールが使用されていたが、肺炎の診断後はゾシンに変更された。幸い解熱軽快して、食事も開始となった。病理組織は間違いなく肝細胞癌だった。