昨日の当直は外科医(年齢は一番若い)だった。準夜帯に4名の患者さんが外科に入院して相当忙しかったようだ。さらに当方が主治医をしている内科入院の認知症の95歳男性が転倒して眉部の切創の縫合を要し、ご迷惑をおかけした。(看護師さんが電話した時、やっと今一息ついたのにと言っていたそうだ。すみません。)
そのうち一人は血液透析を受けている69歳男性で、両下肢の脱力で受診した。透析中の時々低血圧になり、調整が難しい方らしいが、その日脳波検査が行われて、その時に安定剤も使用していた。
頭部MRIで主訴とは直接関係ないが、ラクナ梗塞が頭頂部にあった。昨夜は、ありそうだが本当か?ということで、補液のみで経過をみていた。放射線科医に診てもらって、新規脳梗塞と診断された。治療はどうするか、神経内科医に相談すると、既往に多発性の陳旧性脳出血があり、梗塞巣も小さいので、抗血小板薬の投与は見合わせる方がいいと言う。
透析患者さんでも、経口の抗血小板薬(バイアスピリン、プラビックス、パナルジン、プレタール)は通常量で使用できる。オザグレル(カタクロット)は尿中排泄率が高く、投与量は通常の1/4~1/2になるが使用はできる。
MRIのT2スターで見ると、両側の視床・基底核・脳幹部の陳旧性脳出血が良くわかる。脳出血>脳梗塞で、確かに抗血小板薬は使用しがたい。今日は血圧が安定して下肢の脱力が消失したので退院となった。
透析患者さんの心房細動で抗凝固薬ワーファリンは使用できるが、循環器科医は調整が難しいので使用しがたいと言う。透析患者さんの治療は難しい。