なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

血液培養で連鎖球菌

2018年07月01日 | Weblog

 これも内科の若い先生が担当になった高熱の88歳男性。木曜日の早朝に高熱で救急外来に救急搬入された。当直の外科医が一通り検査したが、発熱源が不明だった。症状は発熱・関節痛だが、関節炎と断定できる所見はなかった。白血球数13700・CRP0.4という結果で、何か炎症がおこったばかりの時期だろうと思われた。

 胸部CTで見て、明らかな肺炎はなさそうだ。尿所見は白血球10-19/HPFで細菌(3+)で、他疾患がなければ尿路感染症(前立腺肥大に伴う腎盂腎炎)かもしれないということだった。両側腎臓辺縁がケバ立っているが、これは有意な所見ととれるかどうか。前立腺炎でもないようだ。尿培養・血液培養2セットを採取して入院になった。セフトリアキソンで治療を開始した。

 他に所見がなければ関節炎かもしれないと思って、病室に患者さんを診にいった。熱で少しぼんやりしているが、会話は普通にできる。脳炎・髄膜炎というのではないようだ。右足関節により熱感があるようでもあるが、確かに関節炎とは言い難い。それほど飲み込みがいいようでもないので、気道感染症もでもいいのかもしれない。関節炎否定できずで、抗菌薬にNSAIDを追加しても考えたが、まずは抗菌薬で経過をみるもらうことにした。

 翌金曜日の朝も高熱は続いていたが、まあそんなに急には下がらないだろうと温度板を見ていた。若い先生が、血液培養2セットで連鎖球菌が出ましたと言ってきた。菌血症をきたす感染巣はどこか。今から心エコーをします、と患者さんといっしょに生理検査室に降りて行った。

 皮膚軟部組織感染症か口腔内感染症が疑われる。連鎖球菌だと心内膜炎とすれば亜急性のはずで、急性の経過とは合わないと思われた。心エコーで疣贅はなかった(経胸壁なので否定はできない)。

 もう一度診察すると、右足甲から第1~3趾に発赤・腫脹があるようだ。色調は薄いピンク色・熱感も少し他の部位よりあるくらいで、いかにもの所見ではない。それでもぼんやりと境界が追えるから有意ではある。急救急外来で診た外科医は蜂窩織炎なしと記載していた。前日診察した時も気付かなかった。趾間を見ると白癬症があるので、蜂窩織炎で合う。

 翌日で連鎖球菌とまでいえるのか、細菌検査室に行って確認すると、確かに連鎖球菌だった。血液培養ボトルは溶血が起きていた。溶血連鎖球菌だ。

 それにしても治療を開始してから蜂窩織炎らしい所見が出てくるという経過もあるのか。蜂窩織炎の培養検査は血液培養を出すしかない(穿刺吸引はしない)。これまでけっこう血液培養を提出してきたが、菌が検出された経験はあまりなかった。

 

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