なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

漢方のセミナー

2014年02月08日 | Weblog

 今日は午後から漢方のセミナーに行ってきた。「サイエンス漢方処方セミナー」の2回目で、1回目の案内が来なかったが、何故か2回目の案内のはがきが病院宛に来た。内容はよくわからなかったが、3時間のセミナー(実際は2時間半で終わったが)なので、勉強になりそうだと思って申し込んだ。今から20年くらい前に漢方のブームがあって、よく漢方の講演会に行ったものだが、その後はあまり関心を持たなかった。

 行ってよかった。講師は北海道にある静内病院の井齋偉夫先生で、元々は外科医だというが、実践的で面白い講演だった。1回目のセミナーで詳しく話されたらしいが、前回出なかった今回の出席者のために、導入として少し話された。いわゆる西洋薬には、炎症を抑える薬としては、NSAIDとステロイドしかないというもので、確かにその通りだった。たとえば肺炎の治療には抗菌薬を使用するが、肺炎の炎症自体は自分の免疫力・修復力にお任せになっている。場合によっては抗菌薬で起炎菌は消失したものの、炎症が激しすぎてARDSになったりする。肝炎もウイルスを排除しようとして免疫が働きすぎて、悪化してしまう。漢方薬には炎症を抑える働きがあり、内臓の炎症には効果的だ。

 また頭痛や頭蓋内血腫に五苓散が良く効くが、脳内のアクアポリンに働くことが分かっている。全身の余分な水分を除去するには利尿剤が効くが、居所的な水分を除去する薬は西洋薬にはない。

 西洋薬で普通に治療して、漢方薬が効果を発揮する場面では使用するという立場だが、西洋薬では治療できない疾患は意外に多い。改めて、漢方薬の勉強をすることにした。講師の先生は著書は出していないようた。古典的な漢方の理論に拘る漢方医の本ではない方がいい。

 ちなみに、肝硬変で腹水がたまって入院した患者さんに茵陳五苓散を処方して、次の日に腹水がすっかりとれたことがある。腹膜の吸収力(500ml/日)で説明できない効果だが、これもアクアポリン?

 

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