Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

新宿コマ劇場『SHINKANSEN☆RX 五右衛門ロック』 S席中央センター

2008年07月13日 | 演劇
新宿コマ劇場『SHINKANSEN☆RX 五右衛門ロック』 S席中央センター

役者本位で観たら楽しいかも。役者それぞれに、特にゲストには見せ場たっぷり。お祭り系の顔見せ芝居としてみれば十分楽しい。総じて、役者さんたちは皆すごく良かった。

でもゲストに見せ場がありすぎて肝心の五右衛門@古田新太さんが主役であって主役じゃなかったのが少々残念。小技を色々やっていたし、古ちんらしいキャラで活き活きとはしていたけれどもうちょっとなんとかしてあげてと思った。いわゆる狂言廻し的役割かな。「五右衛門」の意味があったのか?と。でもまあラスト付近の名乗りのとこは異常にかっこよかった!!歌舞伎役者になれるよ、古ちん! それとお色気対決の時のバックダンサーしてた時が妙におかしくて私的ツボに入りました。あれは可愛かった。

主役オーラがあったのはクガイ@北大路欣也さんかな。あの存在感はすごい。いるだけでいい、という。友人いわく地獄の黙示録のマーロン・ブランドだそう。確かにそうだ。すべてにおいて重量感がある。いると舞台が締まるんですよね。佇んでいるだけでクガイの人生を醸し出す。また殺陣がカッコイイです。殺陣筋がずっしりとい重いんですよ。さすがです。あの渋い声で歌ってしまうのも素敵。まさか歌うとは思ってもみなかった。

カルマ@森山未来くんが弾けてたというか第二の主役かも。まあよく動く、動く。ダンスが上手いのはモチロンだけど、歌もしっかりしているし、台詞も前にきちんと届く。

岩倉左門字@江口洋介さんは思った以上に新感線の舞台に馴染んでて良かったなあ。姿がいいし台詞も上手い。とぼけた感じが可愛いし、予想以上にいい感じ。殺陣は腰が浮いてしまってまだまだな感じでしたが…。でも存在感あるし、これからも舞台に色々立って欲しいです。

ペドロ・モッカ@川平慈英さんはなんーつか、いやあ、面白いわ。あの気持ち悪い役をノリノリで演じるなんて…楽しい。絶えず動き回って、はじけてて、それで歌も上手いしダンスもできるし。舞台人なんですね~。

真砂のお竜@松雪泰子さんも色ぽいしカッコイイし。でも歌、ヘタじゃないのに歌詞が届かないのがチト難点かも。

シュザク夫人@濱田マリ&ボノー将軍@橋本じゅん夫婦がちっちゃいのが可愛かった(笑)。この二人、妙にバランスよかったな。

インガ@高田聖子さんはいつものパターンだけど、でもやっぱ間が良いというか、緩急があってやはり上手い。

と、役者で見たらすごく良かったんだけど、物語本位で観たら、とっちらかりすぎ、グダグダすぎ。やってることはいつもの少年ジャンプ系のノリにルパン三世を足しましたな感じなんですが…。イメージ先行でうまく脚本にまとめられなかったのかな、という感じです。どうせならもっと五右衛門をどんと中心の添えて破天荒なものにして欲しかった。中島さん、微妙にやっつけじゃない?あと演出も間延びしすぎ。

特に1幕目がどーにもこーにも、だらだら。新感線はまあ、いつも一幕目は間延びしがちなこと多いけど、それにしても…。あの大音量の芝居のなかウトウト眠ってる観客も複数名いたし…。殺陣が無駄に多いと思ったのは初めてだ。今回、いつもより単調な殺陣が多かったような気がするのは気のせい?舞台転換の上手さは相変わらずで、そういう部分はいつも感心する。

二幕目は一応物語も動くし個々の役者の力技でなんとか一気に見せていった。特に白波五人男ばりの名乗りのツラネの演出は素敵でした。森山未来くんはここでは台詞廻しに若さがでちゃって、がんばれ~っていう感じだったけど、松雪さん、江口さんが案外いい感じにパシっと決めて、そしたら古ちんが「おおっ、それはちゃんと歌舞伎役者に習いましたね?染ちゃんお手伝いしましたか?」な歌舞伎口調での名乗り。なんかこれでそれまでのグダグダを許そうかなって感じでした。

そういえば、いつもは配役表に歌詞も載せてくれるのに今回無かったのが残念。台詞は皆きちんと届くのだけど、歌となると全然届かない人がいたり、部分部分、聞き取れなかったりしたので歌詞カードはきちんと作ってほしかったなあああああ。物語の流れで大事な詩がいっぱいあったと思うんだけど。

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【あらすじ】
時は桃山の世。豊臣秀吉の寝所に忍び込んだ石川五右衛門は、岩倉左門字ら役人の手でお縄になり、三条川原で釜茹での刑に処されることになった。その五右衛門の葬式を仕切っていたのが謎の美女、真砂のお竜。そこを訪れた左門字は五右衛門の死を信じていない様子だったが、棺桶に入った黒焦げの死体を見ると帰っていく。しかし実は、その棺桶に死体と一緒に納まっていたのは、五右衛門!お竜や手下たちが釜に仕掛けをしておいたおかげで、生き延びていたのだ。
そこに現れる、うさんくさい南蛮人ペドロ・モッカたち。このイスパニアの貿易商が五右衛門救出作戦の出資者で、お竜と組み、ある宝玉を盗み出してくれる人材を探しているという。その宝とは南の果てにあるタタラ島に眠るといわれる神秘の石“月生石(げっしょうせき)”だ。
タタラ島を目指して船出する五右衛門一味。さらに、五右衛門生還を知った左門字も船で追ってくる。だが、この二艘の船を猛烈な暴風雨が襲い、一同は海に投げ出されてしまう。
なんとか南の島に流れ着いた五右衛門と左門字は、生き永らえた…と思った途端に原住民に襲われる。そして捕らえられた二人の前に現れた人物こそ、タタラ島国王のクガイだった!絶体絶命のピンチに陥った五右衛門と左門字だが、そこに砲撃が。クガイを憎む、バラバ国のカルマ王子、ボノー将軍と妻・シュザク夫人が攻め込んできたのだ。
“月生石”の持つ力とは…?クガイとはどういう因縁を持つ男なのか…??果たして、五右衛門の運命やいかに!!

【CAST】
石川五右衛門…古田新太
真砂のお竜…松雪泰子
カルマ王子…森山未來
岩倉左門字…江口洋介
ペドロ・モッカ…川平慈英
シュザク夫人…濱田マリ
ボノー将軍…橋本じゅん
インガ…高田聖子
ガモー将軍…粟根まこと
クガイ…北大路欣也