Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

国立文楽劇場『夏休み文楽特別公演 第一部「親子劇場」』後方センター

2010年07月18日 | 文楽
国立文楽劇場『夏休み文楽特別公演 第一部「親子劇場」』後方センター

7/18(日)

当日券で入りました。客入りは6~7割程度だったかなあ。

文楽劇場は文楽を観るには少々大きい感じでしたが小屋としては非常に良かったです。座席はどこからでも観やすいし、ハレ感のある雰囲気もいい。また来る機会を作りたいです。

『解説 文楽へのごあんない』
初心者向けの文楽教室。基本的な人形の操り方と上演する『雪狐々姿湖』の簡単な説明。ざっと一通りって感じでした。話ぶりがちょっと早すぎる気がした。もう少し丁寧にやってくれてもいいような。大阪のテンポなのかしらん?

小学生三人に体験させるコーナーがありましたが、大阪の子供達は元気に挙手していました。それにしても人形を操るのは大変そうでした。


『雪狐々姿湖』「崑山の秋」「猟師源左の家より冬の湖畔」

高見順=原作 有吉佐和子=作 四世鶴澤清六=作曲 西川鯉三郎=振付

いわゆる新作文楽という括りでしょうか。信州の伝承物語を文楽にしたものだそうです。狐の姫が人間の恋したための悲劇。きちんと義太夫に乗せているのだけど、どことなく新歌舞伎を連想。異種婚譚という似たモチーフの『狐と笛吹き』を思い出したためかも。

子供向けかと思いましたら言葉は現代語でわかりやすいけど子供に阿ってるわけじゃないし御伽噺の残酷さもしっかり描いていてなかなか面白かったです。狐たちが可愛いし。人間側も良い人ってところでの悲劇なので素直に見られたっていうのもあるかな。最後の場はかなり迫力がありました。嶋太夫さんの語り、非常にわかりやすく良かったです。

主人公の狐、白百合には文楽の女性特有の怖いくらいの恋の一途さがあるのが、とてもらしかった。こういう姫の一途な心情は人形でみるほうがストレートに伝わってくる気がする。主遣いは和生さん、師匠譲りの品がありつつしっかり異のオーラがある白百合でした。

狐姫の許婚のコン平がいい男(雄)でねえ。人間に恋しちゃった白百合を、白百合のために応援しちゃう狐くん。なんだか可哀想やら可愛いやら。私ならこちらを選ぶ、とか思いました(笑)。

また、右コン、左コンの双子の弟狐くんが可愛すぎて涙を誘う。

あらためて感想書いてみると結構この演目好きかも。人形をもうちょっと近くで見たかったな。