Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

歌舞伎座『芸術祭十月大歌舞伎 夜の部』 3等B席上手寄り

2015年10月03日 | 歌舞伎
歌舞伎座『芸術祭十月大歌舞伎 夜の部』 3等B席上手寄り

『阿古屋』
玉様の阿古屋は歌舞伎座での玉三郎さんの初演から観ている。歌舞伎座でしか拝見していないので他の劇場での阿古屋は知りませんが…。思い入れがありすぎて今回に限っては何も言う言葉がない。完全に役を手中に入れたなと思ったのは秀山祭の時でした。今回は拝見できただけで本当に満足です。玉さまの阿古屋、歌右衛門丈の面影が見えたって思った。個人的に色んな思いが巡り泣きそうでした。


『髪結新三』
髪結新三は難しいのね。

新三@松緑さんは台詞は相変わらずだけどきちんと丁寧にやっていて好感はもつ。しかし意外と悪が効かないなぁという印象。合う役かと思ってたんだけど。魚屋宗五郎のほうがニンに合うのかも。

勝奴@亀寿さんが良かった。小悪党のちょっとした悪が効く。愛嬌はないけどチャッカリした性格や新三を兄貴分として慕うバラランスのよさ。亀寿さんの演技にはほどのよさがある。良い役者になってきた。最近伸びてる。

忠七@時蔵さんがかなり芯が強くプライドのある忠七で弱すぎないのがとても良かった。少し芝翫さんのに似ていた感じ。忠七の人物像にきちんと幅がある。

弥太五郎源七@團蔵さんは大物すぎず、ちょっと落ち目にかかってる感じがリアルでとても納得できる源七だった。だけど、團蔵さんという役者をみるうえではそれはそれで複雑な気持ちに…團蔵さんは悪党もお似合いだけどちょっと人のいい役とか好き。

「白子屋見世先の場」で秀太郎さんと仁左衛門さんが揃うのだけどこの二人だと丸本物が始まるのかと一瞬勘違い。場所がお江戸にみえない(笑)いわゆるご馳走配役ですね。ご馳走配役でかっさらってったのは菊五郎さんの鰹売り。あの鰹売り、宗五郎かしら?と思ったり(笑)とても楽しそうだった。