歌舞伎座『壽初春大歌舞伎 夜の部』 3等A席下手寄りセンター
『壽曽我対面』
今月唯一の大顔合わせ演目。
曽我十郎@菊五郎さん、私、大好きなんです。やっぱり素敵~~~~。おっとりとしながら知的で芯のある兄としての格が十分の十郎です。姿形もほんとに素晴らしい。当代一の十郎です。
曽我五郎@吉右衛門さん、大きくて怒りが充満してる少々怖い系五郎でした。いかにも工藤に飛び掛らんばかり。力の入れ方が上手です。お手本のような形の良さ。高めに取ったハリのある声に若々しさを感じます。終始勢いのある五郎でした。
工藤祐経@幸四郎さんがいやみったらしくて良かったです(笑)。格の高さ、大きさがありつついかにも敵役。今回、声が凄く出ててビックリ。劇場に響き渡り空気を切り裂くほど。敵役の凄みをみせました。幸四郎さんで悪人のお役を見たいですねえ。
鬼王新左衛門@梅玉さん、一人だけ様式じゃない拵えの出なんですが違和感がないのと、爽やかな声質で場の切り替えをします。良いですねえ。
魁春さんの舞鶴、拵えがとても似合っていて素敵でした。キリッとした佇まいに大きさを感じました。
芝雀さんの大磯の虎、大きさのなかに艶やかさがあって非常に良かったです。風格が出てきて大磯の虎は完全に持ち役になりましたね。
近江小藤太@染五郎さん、八幡三郎@松緑さんの工藤家来、細々した仕事をしっかりと。声もよく出てました。この二人は五郎が出てきてからは吉右衛門さんを終始見続けていました。染五郎さんは花道の出からガン見状態で目が思いっきり右に寄ってました(笑)。松緑さんも本舞台に入ってからチラ見し始めてだんだん途中からガン見。二人とも芸を盗もうとするその姿勢がよろしい。
化粧坂少将@菊之助さん、魁春さんと芝雀さんに挟まれるとさすがにちょっと線の細さが目立ってしまいますが端正な佇まいで可愛らしかったです。菊之助さんは菊五郎さんをガン見してました(笑)
しかしこの面子で様式だけの芝居の『対面』というのは…。豪華だし、華やかだし面白かったんですけど、でも、芝居上手なこの面子が揃うんだったらなにか違う芝居させてよ、と言いたくなりました。『対面』をやらせる面子じゃないよ。ああ、もったいない、もったいない。
『春興鏡獅子』
勘三郎さんの『鏡獅子』は前回(2007年)のほうが良かったかも…。”気”の入り方が違っていたというか。多分、日によって出来が違うとは思うのですけど。弥生は相変わらず可愛いし、獅子は勇壮さがあって見事は見事なんだけど…チト物足りない。全体的に少し流れすぎかなあ。前回が良すぎたかな。
さすがに円熟の域に入ってきた感じで、弥生はまあるく、まあるく流れるように踊る。余計なものをそぎ落としつつある踊り。純粋さと娘らしい愛らさは見事だったと思う。でも好みからいうと今回は踊りが流れすぎな部分が。そこはもっと溜めて欲しい、とか体をもっとキツク、形を整えて欲しいとか…。前回のあの体の使い方が忘れられない。もっとギリなところで踊っていた気がする。獅子のほうは昔ほどのキレが無い分、押し出しの強い聖なる獣たらん雰囲気を強く出してきた感じ。その勇壮さはやはり良い。ただ、全体的に毛振りが若干小さめ。後半ですし、疲れがでたかな。足もあまり上げてなかったし。
胡蝶は二人とも頑張ってました。千之助くんは孝太郎父さんソックリですね。踊り方もさすがに似てる。柔らか味があってきちんと踊っていて上手いです。お澄まし顔がなんとも可愛い。玉太郎くんは少々不器用な踊りかな。そこを愛嬌でカヴァー。でも大きく踊ろうと頑張っていてほほえましかったです。玉太郎くんは華がありますね。
局吉野@歌江さん、飛鳥井@吉之丞さんはそこにいるだけで存在感。今のうちに観ておかないとな役者さんお二人。
家老渋井五左衛門@友右衛門さん、老け役が続きますが体の作り方が見事なので驚きました。この方、実力はあると思うのですが役付きが…。女形さんのままのほうが活躍できたのでは、と最近つくづく思います。今からでも遅くないんじゃないかと。
染五郎さん贔屓の戯言ですが、この『春興鏡獅子』を拝見して、染五郎さんの『春興鏡獅子』もまた早いうちに拝見したいと思いました。勘三郎さん写しの踊りではありましたが持ち味が違ってるんですよね。清冽な初々しい鮮やかな踊りだったな、とつい思い出してしまいました。。
『鰯賣戀曳網』
のんびりほのぼの。打ち出しにはちょうどいい感じ。
蛍火@玉三郎さんがはっちゃけていました。おっとり一途なお姫さまを実に楽しそうにメリハリつけて演じていらっしゃいました。タカビーな玉様萌え(笑)。今月の玉様、本気で何かがふっきれた感じがするのは気のせいかしら?最後の「鰯こうえい」の声がスコンと突き抜けていきました。
猿源氏@勘三郎さん、肩の力がうまい具合に抜けていて、可愛らしい猿源氏でとても良かったです。コメディタッチの芝居の時にはやりすぎな部分もある勘三郎さんですが、今回は自然に自分の持ち味の間のよさで笑わせていたように思いました。
海老名なあみだぶつ@彌十郎さん、粋で渋い親父様でとても素敵でした。こういう包容力のある役がお似合いです。
六郎左衛門@染五郎さん、モミアゲにすんごい不細工メークで「えっ?染五郎さん?」という拵えでしたがかなりキュートでした。気のよさそうな馬が大好きな博労。馬と一緒に細かい芝居してるのが可愛い。後半も勘三郎さんとイキがあっていて良い感じでした。家老に化けたところでは何気に所作が良すぎて格好良かったりも(笑)楽しそうにマジメに演じているところで笑わせていました。やはり間が良いです。
『壽曽我対面』
今月唯一の大顔合わせ演目。
曽我十郎@菊五郎さん、私、大好きなんです。やっぱり素敵~~~~。おっとりとしながら知的で芯のある兄としての格が十分の十郎です。姿形もほんとに素晴らしい。当代一の十郎です。
曽我五郎@吉右衛門さん、大きくて怒りが充満してる少々怖い系五郎でした。いかにも工藤に飛び掛らんばかり。力の入れ方が上手です。お手本のような形の良さ。高めに取ったハリのある声に若々しさを感じます。終始勢いのある五郎でした。
工藤祐経@幸四郎さんがいやみったらしくて良かったです(笑)。格の高さ、大きさがありつついかにも敵役。今回、声が凄く出ててビックリ。劇場に響き渡り空気を切り裂くほど。敵役の凄みをみせました。幸四郎さんで悪人のお役を見たいですねえ。
鬼王新左衛門@梅玉さん、一人だけ様式じゃない拵えの出なんですが違和感がないのと、爽やかな声質で場の切り替えをします。良いですねえ。
魁春さんの舞鶴、拵えがとても似合っていて素敵でした。キリッとした佇まいに大きさを感じました。
芝雀さんの大磯の虎、大きさのなかに艶やかさがあって非常に良かったです。風格が出てきて大磯の虎は完全に持ち役になりましたね。
近江小藤太@染五郎さん、八幡三郎@松緑さんの工藤家来、細々した仕事をしっかりと。声もよく出てました。この二人は五郎が出てきてからは吉右衛門さんを終始見続けていました。染五郎さんは花道の出からガン見状態で目が思いっきり右に寄ってました(笑)。松緑さんも本舞台に入ってからチラ見し始めてだんだん途中からガン見。二人とも芸を盗もうとするその姿勢がよろしい。
化粧坂少将@菊之助さん、魁春さんと芝雀さんに挟まれるとさすがにちょっと線の細さが目立ってしまいますが端正な佇まいで可愛らしかったです。菊之助さんは菊五郎さんをガン見してました(笑)
しかしこの面子で様式だけの芝居の『対面』というのは…。豪華だし、華やかだし面白かったんですけど、でも、芝居上手なこの面子が揃うんだったらなにか違う芝居させてよ、と言いたくなりました。『対面』をやらせる面子じゃないよ。ああ、もったいない、もったいない。
『春興鏡獅子』
勘三郎さんの『鏡獅子』は前回(2007年)のほうが良かったかも…。”気”の入り方が違っていたというか。多分、日によって出来が違うとは思うのですけど。弥生は相変わらず可愛いし、獅子は勇壮さがあって見事は見事なんだけど…チト物足りない。全体的に少し流れすぎかなあ。前回が良すぎたかな。
さすがに円熟の域に入ってきた感じで、弥生はまあるく、まあるく流れるように踊る。余計なものをそぎ落としつつある踊り。純粋さと娘らしい愛らさは見事だったと思う。でも好みからいうと今回は踊りが流れすぎな部分が。そこはもっと溜めて欲しい、とか体をもっとキツク、形を整えて欲しいとか…。前回のあの体の使い方が忘れられない。もっとギリなところで踊っていた気がする。獅子のほうは昔ほどのキレが無い分、押し出しの強い聖なる獣たらん雰囲気を強く出してきた感じ。その勇壮さはやはり良い。ただ、全体的に毛振りが若干小さめ。後半ですし、疲れがでたかな。足もあまり上げてなかったし。
胡蝶は二人とも頑張ってました。千之助くんは孝太郎父さんソックリですね。踊り方もさすがに似てる。柔らか味があってきちんと踊っていて上手いです。お澄まし顔がなんとも可愛い。玉太郎くんは少々不器用な踊りかな。そこを愛嬌でカヴァー。でも大きく踊ろうと頑張っていてほほえましかったです。玉太郎くんは華がありますね。
局吉野@歌江さん、飛鳥井@吉之丞さんはそこにいるだけで存在感。今のうちに観ておかないとな役者さんお二人。
家老渋井五左衛門@友右衛門さん、老け役が続きますが体の作り方が見事なので驚きました。この方、実力はあると思うのですが役付きが…。女形さんのままのほうが活躍できたのでは、と最近つくづく思います。今からでも遅くないんじゃないかと。
染五郎さん贔屓の戯言ですが、この『春興鏡獅子』を拝見して、染五郎さんの『春興鏡獅子』もまた早いうちに拝見したいと思いました。勘三郎さん写しの踊りではありましたが持ち味が違ってるんですよね。清冽な初々しい鮮やかな踊りだったな、とつい思い出してしまいました。。
『鰯賣戀曳網』
のんびりほのぼの。打ち出しにはちょうどいい感じ。
蛍火@玉三郎さんがはっちゃけていました。おっとり一途なお姫さまを実に楽しそうにメリハリつけて演じていらっしゃいました。タカビーな玉様萌え(笑)。今月の玉様、本気で何かがふっきれた感じがするのは気のせいかしら?最後の「鰯こうえい」の声がスコンと突き抜けていきました。
猿源氏@勘三郎さん、肩の力がうまい具合に抜けていて、可愛らしい猿源氏でとても良かったです。コメディタッチの芝居の時にはやりすぎな部分もある勘三郎さんですが、今回は自然に自分の持ち味の間のよさで笑わせていたように思いました。
海老名なあみだぶつ@彌十郎さん、粋で渋い親父様でとても素敵でした。こういう包容力のある役がお似合いです。
六郎左衛門@染五郎さん、モミアゲにすんごい不細工メークで「えっ?染五郎さん?」という拵えでしたがかなりキュートでした。気のよさそうな馬が大好きな博労。馬と一緒に細かい芝居してるのが可愛い。後半も勘三郎さんとイキがあっていて良い感じでした。家老に化けたところでは何気に所作が良すぎて格好良かったりも(笑)楽しそうにマジメに演じているところで笑わせていました。やはり間が良いです。