・ 個性派揃い俳優陣によるR・ブルックスのウェスタン。
イタリアン西部劇に席巻されていたハリウッドで「暴力教室」(55)「熱いトタン屋根の猫」(58)で知られるリチャード・ブルックスがフランク・オルークの小説を個性派俳優陣を起用して映画化。R・ブルックスの脚色とコンラッド・L・ホールの70m/m大画面に蒸気機関車と馬の疾走シーンなど迫力ある映像でオスカーにノミネートされた。
20世紀初頭メキシコ革命の頃、妻が誘拐され身代金10万ドルを要求されたテキサス油田の富豪は射撃の名手リコ・ファーダンに報奨金1万ドルと前金1000ドルの条件で取り戻すよう依頼する。
リコは馬の専門家ハンス、追跡と弓矢の名手ジェイクに声を掛けさらにダイナマイト爆撃プロのビル・ドルワースを刑務所から救出し、革命軍で山賊の頭となった誘拐犯ラザを追跡する・・・。
「荒野の七人」的スタートの物語は一見正統派西部劇だが、なんとなく趣きが違ってくる。
四人のリーダー・リコを演じるのはリー・マービン。「リバティバランスを射った男」(62)の悪役で一躍名を売り、「殺人者たち」(64)で寡黙な殺しやに扮し「キャット・バルー」(65)ではオスカーを獲った渋い個性派俳優。
ダイナマイトのプロ・ビルに扮したバート・ランカスターは「地上より永遠に」(53)でデポラ・カーと競演しスターの仲間入り、「OK牧場の決斗」(57)など西部劇も多く出演しているが、「成功の甘き香り」(57)「エルマー・カントリー/魅せられた男」(60)「終身犯」(60)「山猫」(63)など社会派文芸作品などに定評がある。
本作では昔のアクションスターを懐かしむような素早い動きとコミカルな演技で美味しいところを持って行く。
事実上ふたりの映画で脇を固めるプロの二人(ロバート・ライアン、ウディ・スロート)は出番が限られている。
油田の富豪役のラルフ・ベラミーは善人役、山賊ラザ役のジャック・パランスは「シェーン」(53)の敵役など悪役で知られる。これを逆手にとったストーリー展開がこの映画の最大の見どころか?
紅一点の富豪の妻ラザには63年に「81/2 」「山猫」「ブーべの恋人」と3本の話題作に出演したCCことクラウディア・カルディナーレが扮し、肌も露わな衣装で灼熱の砂漠を歩くシーンなど体当たりの大熱演だった。この年プロデューサーのフランク・クリスタルと結婚しているが、海を渡ってこの役に挑んだのは何か事情があった?としか思えない。
一捻りあったストーリーと恋愛と革命についての長台詞や<女は少年を男にし、男を少年にする>という哲学的?な言葉はR・ブルックスらしいが、肩の凝らない娯楽アクションとして観る分には充分期待に違わぬ作品である。