・ 3D大画面で疑似体験したかった宇宙空間と再生への旅。
3D映画の代表作といえば「アバター」(09・J・キャメロン監督)、「ヒューゴの不思議な冒険」(11・M・スコセッシ監督)だが本作も加えたい。映像で無重力体験できる宇宙飛行士の極限状態を描いたSFヒューマン・サスペンス。
ハリーポッターシリーズのプロデューサーデヴィッド・ヘイマン、長回し映像で著名なアルフォンソ・キュアロン監督で映画化され大ヒット。オスカー監督(A・キュアロン)、撮影(エマニュエル・ルベツキ)、作曲(スティーヴン・プライス)など7部門を獲得している。
主演は「スピード」(94)、「デンジャラス・ビューティ」(00)のサンドラ・ブロック。幼い子供を失い心にキズを負いながらも宇宙へ飛び立つメディカルエンジニア役を全身で演じている。アラフィフにしてタンクトップにショーツ姿がさまになる俳優は希少価値である。当初はアンジョリーナ・ジョリーがキャスティングされていたようだが、彼女のほうが適役だと感じた。
俳優だけでなくプロデューサーなど多方面で活躍しているジョージ・クルーニーが理想的な相棒役で好演しているが、中盤からはS・ブロックの独り芝居。とはいえロバート・ダウニーJrの代役とは思えない程はまり役に仕上がっているのは、彼のイメージに合うよう脚色したからだろう。
ほかにはエド・ハリスがミッション・コントローラー役の声だけの出演で「アポロ13」(95)を想わせるキャスティング。
12分半の長回しで始まる宇宙空間の神秘的な美しさは監督の真骨頂で、観客をまるで無重力の世界へ誘因するようだ。船外で修理活動しているストーン博士(S・ブロック)とベテラン飛行士マット(J・クルーニー)との会話は楽しげでこれから起こるアクシデントなど想定外の様子。
突然ミッション・コントロールからロシアの人工衛星の宇宙ゴミがスペースシャトル・エクスプローラー号へ接近というアナウンスで船外活動を中止し船内に避難を余儀なくされる。
ここからは数々のアクシデントの連続で仲間を失い、唯一の頼りマットとの無重力飛行の旅へ・・・。
静寂のなかジョークを言いながら励まし続けるマットと結ばれていたワイヤーまで究極の選択によって離されてしまい、ストーンの孤独な恐怖感のなか生への執着心へのサバイバルゲームが展開されていく。
科学的なリアリティには数々の間違いが指摘されているようだが、宇宙描写やISS(国際宇宙ステーション)、ソユーズなど映像のリアリティは専門家も納得の映像がドラマとしての質の高さに結びついていた。
筆者は3D映画鑑賞が不得手で2Dでの鑑賞だったが、本作は3Dで観てみたいと思わせる初の作品だった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます