晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(13・米) 80点

2014-02-16 16:07:04 | (米国) 2010~15

 ・ L・ディカプリオの集大成作品。

 22歳からウォール街で働き、26歳で会社を設立して一躍年収4900万ドルの寵児となり、栄光の果て10年間で追放されたジョーダン・ベルフォードの半生記。

 「ウォール街」(86)、「マネー・ゲーム」(00)とウォール街での波乱万丈人生を描いた作品があるが、何れもアメリカ経済社会への警鐘を鳴らすというテーマが前面に出た、人生ドラマだった。本作は何とマーティン・スコセッシによるコメディでオマケにR-18。何となく外すような気がして観るかどうか迷ったが、レオナルド・ディカプリオが念願した作品で心配は杞憂だった。

 スコセッシ、ディカプリオのコンビは今回5回目。スコセッシは「グッドフェローズ」(90)、「カジノ」(96)で実在人物の描写には定評があり、とても71歳とは思えないエネルギッシュな演出ぶりは奇跡という以外ない。

 デカプリオは「アビエイター」(05)、「華麗なるギャッツビー」(13)、「ジャンゴ 繋がれざる者」(13)と近作をミックスしたような主人公を演じた彼の集大成。御褒美でゴールデン・グローブ賞の主演男優賞を受賞している。ドラマ部門ではなくミュージカル・コメディ部門であるところが気になるが、念願のオスカー獲得なるかが興味のマト。
 
 確かにコメディだが大笑いできなかったのは、国民性か年齢のせいなのだろうか?R-18なのはドラッグと女好きのオンパレードで、巨額の金を全て享楽のために浪費した男の物語だから。おまけにその金は欲に駆られた人々を巻き込む<ねずみ講>や<オレオレ詐欺>に近い「投資詐欺」。キャリアやコネのない男が口先ばかりでヒトの心を操って伸し上がり、絶頂から突き落とされても同情を買ったり共感できるような人物ではない。

 主人公に同情も共感も得られない179分なのに退屈せずに最後まで観られたのは、波乱万丈の半生記は何処かヒトを惹きつけるものがあるから。彼は天性の詐欺師故に人を巻き込む魅力にこと欠かない。レオ様がどうしても演じたい役柄の所以が分かるような気分にさせられた。

 共演したのは「マネーボール」のジョナ・ヒル、「アーティスト」のジャン=デュジャルダン、前半全てをさらう怪演を魅せたマシュー・マコノヒー、後半登場してまだ妖艶さを失わないジョアンナ・ラムレイ。
ジョーダンの最初の妻クリスティン・ミリオティ、大型クルーザーをプレゼントされる2番目の妻役で全裸も厭わぬマーゴット・ロビーと多士済々。

 本作を映画化するに当たって最大の功労者は、原作者で主人公のモデルとなったジョーダン・ベルフォードだろう。もし日本でホリエモンの映画化を企画しても失礼ながらスケールも及ばないし、こういうストーリーをOKすることにはならなかったことだろう。

 どちらかと言えば、カイル・チャンドラー扮する地下鉄で通勤するFBI捜査官に近い生活を送ってきた筆者にとって、この主人公に憧れる若者が出ないことを願いながら映画館を出た。

 



 
 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿