・ フィリベール監督の、思い入れたっぷりのドキュメンタリー。
仏のドキュメンタリー監督、ニコラ・フィリベールが、ノルマンディの農村で30年前映画出演した人々へのインタビュー構成で、自身の原点を探る映画。
’76年ルネ・アリオ監督「私ピエール・リヴイエールは母と妹と弟を殺害した」という映画の助監督で、キャスティングを担当したN・フィリベール。資金不足のなか主人公を始め出演者を地元の人から探し、無事完成させた。
映画は19世紀の実話がもとで、哲学者ミッシェル・・フーコー原作の悲惨な殺人事件でありながら、出演した人々は30年前のことをまるで昨日のように楽しげに語っていた。なかには、娘の病を機に辛い想い出になってしまった人も。
ブタの飼育、シードル作りが昔ながらに行われている素朴な生活。冒頭、子ブタの誕生と、中盤ブタのト殺シーンが丹念に映されインパクトがある以外静かな映像が続く。村は何も変わっていないように見えて、核問題を抱えていたりする。
その人々が映画にどのように関わり、今どのように思っているかが分かってくるが、肝心の主人公を演じたクロード・エベールの行方が分からない。そして感動の再会。
いわば、30年前のメイキングだがそこにフィリベールの思い入れがたっぷり入っている。それは、父とも仰ぐルネ・アリオ監督への畏敬と出演者のそれぞれの人生賛歌がひしひしと伝わってくる。
なかでも豚の飼育をしているロジェがとてもイイ味を出している。彼は映画では出演シーンをカットされていたが、結婚式を挙げる今回は主役級だ。
同じジャンルのマイケル・ムーアとは両極にいるフィリベール。心の奥に沁み入るようなヒトとヒトとの絆を訴えている。
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