晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「100万ドルの血斗(71・米)60点

2020-03-02 13:35:37 | 外国映画 1960~79

・デューク一家総出による懐かしの娯楽西部劇。
ジョン・ウェインといえば、多くの西部劇に主演したハリウッドを代表するスター。そのデュークが肺がんと闘いながら「勇気ある追跡」(69)で念願のオスカーを獲得し復活を遂げている。
ただ時代はイタリア製やニューシネマに時代が移り西部劇そのものが衰退著しい頃だった。
本作は長男マイケルがプロデュースした昔ながらの正統派?西部劇。御大デュークと五本目の共演となったモーリン・オハラを始めパトリック、イーサンの息子たちが出演し、無名時代のデューク作品を多く手掛けたジョージ・シャーマンが監督。これが遺作となった。原題は「Bigg Jake」
時代背景をモノクロ映像でスタートさせ、ならず者たちをひとりひとり紹介する冒頭はニューシネマ風。
20世紀初頭のテキサスの大牧場に押し入ったジョン・フェイン(リチャード・ブーン)を頭とする盗賊たち。長男ジェフ(ボビー・ヴィントン)を銃撃、その息子(イーサン・ウェイン)を誘拐して100万ドルを要求。
留守中だったジェイコブ(J・ウェイン)が妻(M・オハラ)に呼び戻され孫を取り戻すための追跡を開始する。
追跡団には車やバイクが登場するが、西部の荒れ地には馬が最適という流れは如何にも郷愁が漂う。
邦題のような血なまぐさいシーンよりホーム・ドラマのような雰囲気なのは、息がぴったりなM・オハラとのヤリトリや実の息子たちが息子や孫で登場してファミリー感満載のせいか?
さらに先住民のブルース・キャボットや愛犬までが御大の引き立て役となっている。
今観るとシナリオに破綻も多く、忠実な愛犬や先住民への哀悼もない家族への偏愛について行けないひとも多いことだろう。当時はこれが許された時代でもあったことを改めて知らされる。
さすがにアクション・シーンは衰えも隠せないが、家族揃って楽しめる西部劇の砦を孤軍奮闘して守ろうとした御大の存在感が最大の見どころだ。