晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「横道世之介」(12・日)70点

2019-09-30 12:06:20 | 日本映画 2010~15(平成23~27)


 ・ 80年代バブル期を懐かしむ青春ストーリー。


 吉田修一の新聞小説を「南極料理人」(09)の沖田修一監督で映画化。
’87年、長崎から大学進学のため上京した青年・横道世之介と彼を巡る人々によるI年間のエピソードを描いたノスタルジックな青春ストーリー。
高良健吾、吉高由里子のほか池松壮亮、伊藤歩、綾野剛など多彩なメンバーが共演。

 160分の上映時間を長く感じるか、あっという間と思うかでこの作品の評価は違ってくる。
主人公の世之介は裏表がないお人好しな好青年で、登場する友人たちも悪人はいない。
時代を共有する人には懐かしく、そうでない人には想像以上の大した事件は起きない、あるようでないようなエピソードが続いて行く。

 筆者にはこんなキラキラしたキャンパス経験はないが、バブル時代の風景は懐かしい。
68年生まれの沖田監督にとって、当時の再現は苦労したと思うがそれなりに雰囲気は再現されていた。

 伊藤歩が演じたキャンパスガールの痛々しさは地方から出てきた上昇志向の若い女性そのものだし、サンバサークル仲間の倉持(池松壮亮)と阿久津唯(朝倉あき)が結ばれるのもガチガチの鉄板だし、加藤(綾野剛)が女性に興味がないのもそれほど珍しくない時代。

純朴な地方の青年・世之介の高良と社長令嬢・祥子役の吉高は「蛇とピアス」のコンビだが、まるっきり違う役柄を演じながら相性の良さを証明している。

 物語は16年後、世之介に関わった人々が違った人生を歩みながら昔のアルバムをめくるように<世之介を知っているだけで幸せな気分>を懐かしく回想していく。

 長崎の港町と大都会東京を舞台にさまざまなエピソードを絡めながら、いつまでも続いていくような気分にさせてくれた。