晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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『ベリッシマ』 85点

2011-11-08 16:13:27 | 外国映画 1946~59

ベリッシマ

1951年/イタリア

ローマ庶民をイキイキと描いたヴィスコンティ 

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

「自転車泥棒」などの脚本を手掛けたチェサレ・ザヴァッティーニの原案をスーゾ・チェッキ・ダミーゴとルキノ・ヴィスコンティが脚色。戦後間もないローマの庶民生活をいきいきと描いたヴィスコンティ監督長編3作目の人情ドラマ。
幼い娘を映画スターにさせようとやっきになるマッタレーナのステージ・ママ奮闘記は、可笑しくて哀しい。素人俳優(子役)を使うことが多いネオ・レアリスモ全盛のイタリア映画界への皮肉とも取れるが、当時の映画が如何に庶民にとって憧れであったかがうかがえる。
マッタレーナを演じたアンナ・マニーニャはヴィスコンティお気に入りの女優で「郵便配達は二度ベルを鳴らす」に起用しようとしたが妊娠中で果たせず、彼女の起用が本作を演出する決め手になったほど。その期待に違わずイタリア女性の逞しさと人情味あふれる彼女の演技がこの作品を肉厚なものとしている。俳優の個性を生かしながら登場人物を掘り下げて行くヴィスコンティは、単なる下町人情喜劇ではなく人間の尊厳を見事に描いている。