菩提樹
1956年/西ドイツ
邦題の素晴らしさを実感した
総合 80点
ストーリー 85点
キャスト 80点
演出 80点
ビジュアル 80点
音楽 85点
マリア・フォン・トラップの自叙伝「トラップファミリー合唱団物語」をもとにしたドイツ映画。
’59アメリカでミュージカル化され、’65映画化された「サウンド・オブ・ミュージック」に先駆けて作られている。
7人の子供の家庭教師としてトラップ男爵一家に期限付きで赴任した修道女マリア。自由奔放に子供たちを指導するマリアに驚きながらも、厳格な教育方針を反省するトラップ。
クリスマスに求婚、2人は結ばれるがそれからが波乱万丈。銀行が倒産し一文無し、おまけにオーストリアがナチスに併合されてしまい、反ナチスのトラップは窮地に立つ。
救いとなったのが音楽。音楽教師でもあるヴァスナー神父の指導で、「狩りの歌」を歌ったトラップ合唱団はザルツブルグ音楽祭で1等賞を取った腕前がものをいうことに。
有名な「ドレミの歌」はもちろん出てこない。代りに邦題ともなった「菩提樹」がとても重要なところで出てくる。当時の邦題の素晴らしさを実感した映画でもある。ちなみに原題は「トラップ一家」でいかにもドイツ映画らしくそのものズバリ。
マリアを演じたルート・ロイヴェリクは明るく逞しくイメージぴったり。対するトラップ男爵のハンス・ホルトは生真面目で軍人らしさが出ていたがどうも後半は影が薄く、気の毒な役回りとなってしまった。子供たちは皆な可愛いが次男のミヒャエル・アンデが「野バラ」で見せた名演技がここでも見られたのが嬉しい。
子供たちの歌は吹き替えでレーゲンスブルガー・ドムシュパッシェン合唱団が歌っているとのこと。