晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『インセプション』 85点

2010-07-24 14:42:32 | (米国) 2010~15

インセプション

2010年/アメリカ

ノーマン監督の独自性と娯楽性をMIXした集大成

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆90点

音楽 ★★★★☆80点

バットマン・シリーズのクリストファー・ノーランのオリジナル脚本・監督作品。夢のなかでヒトの潜在意識にもぐり込んで<アイデアを盗む>スペシャリストが、<ある考えを植え込む>という命がけの仕事に挑むアドベンチャー・アクション。主演にレオナルド・ディカプリオ、共演に渡辺謙という魅力的なキャスティング。
冒頭、摩訶不思議な日本の城に住むサイトー(渡辺謙)と主人公コブ(L・ディカプリオ)のシーンでいきなり迷路に入ってしまい、これは失敗作では?と不安を感じる。
それでも、サイトーから命がけの仕事を引き受けたコブが世界中のスペシャリストとチームを組み、世界的企業グループの御曹司ロバート(キリアン・マーフィー)に挑む構図が見え始めると、息もつかせぬカーチェイス、折れ曲がる街並み、高層ビルの廃墟、無重力のアクションなど「マトリックス」を思わせる不思議な映像シーンに魅了されてしまった。現実と夢、夢とその夢の中なのか?考える暇もなく時間・空間を超えた多重構造の流れに身を任せてゆくうち、トキの経つのを忘れノーマン・ワールドに浸ってしまっていた。コブが持っている独楽を回すことが<夢と現実を確かめる手段であること>を予備知識として持っておくと分かりやすい。
C・ノーマンは「メメント」の高評価で世界に認められ「インソムニア」「プレステージ」で独自の世界を築き、バットマン・シリーズで興業的にも信頼を勝ち取ったいま脂の乗っている監督のひとり。今回は独自性と娯楽性をMIXした、いままでの集大成といえる娯楽大作といえる。
主演のL・ディカプリオは、前作「シャッター・アイランド」に続いて現実離れしたセンチメンタルな男を演じ、はまり役となりそう。対する渡辺謙は出番も多く、ひいき目でなく堂々たる受けの演技で、一番有名な日本のハリウッド俳優として存在感を見せている。
ほかにも妻のモルにマリアン・コティアールが謎の言動で、「エディット・ピアフ~愛の賛歌~」とは別人のようなボリューム感で魅惑的。義父で恩師のマイルズにマイケル・ケインは出番は少ないが印象的なシーンに登場してストーリーに重みを増している。さらにチームの一員でフランスの夢の設計士にエレン・ペイジ、モロッコの偽装士にトム・ハーディ、睡眠を調節するインドの調合士ユスフにディリーブ・ラオなど国際色豊か。
夢のアクションの世界にどっぷり浸かって暑さを忘れるのも一興。ノーラン監督の次回作はバットマン第3作らしいが、007も観てみたい。