晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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『白い恐怖』 80点

2010-03-25 16:45:38 | 外国映画 1945以前 




白い恐怖


1945年/アメリカ






サイコ・スリラーというよりラブ・ロマンス





プロフィール画像

shinakamさん


男性






総合★★★★☆
80



ストーリー

★★★★☆
80点




キャスト

★★★★☆
85点




演出

★★★★☆
85点




ビジュアル

★★★★☆
80点




音楽

★★★★☆
80点





ウグレフランシス・ビーディングの異常心理小説「ドクター・エドワーズの家」を、当時デイヴィッド・O・セルズニック プロデューサーのお抱え的存在だったA・ヒッチコックが監督したサイコ・スリラー。ヒッチコックお気に入りのベン・ヘクトのシナリオは、当初精神分析をモチーフにしたサスペンスだったが、セルズニックの意向でラブ・ロマンスに仕上がっている。
新任の精神病療養所・所長エドワーズ(グレゴリー・ペック)。思ったより若くて素敵な風貌に女医のコンスタンス(イングリッド・バーグマン)は一目惚れする。所長歓迎の食事の席で、エドワーズはコンスタンスがテーブルクロスでつけたフォークのラインを見た途端、気分が悪くなってしまう。その原因を探るうち、男はエドワーズとは別人で、エドワーズを殺したため本人になりすましたというメモを残し、NYへ旅立ってしまった。
フロイトの精神分析がもてはやされたこの時期類似の映画が作られたが、この作品はヒッチコックが手掛けたからか、いまでも多くの人に語り継がれている。コップの底からのアングルや扉が次々と開かれるシーンなど、その片鱗は随所に見られるものの断片的で、後の作品と比べ切れ味に欠けるきらいは否めない。
夢の舞台装置にサルヴァトール・ダリを起用して独特の世界を表現したり、電子音楽テルミンを流したり当時としては極めて斬新な試みをしている。必ずしも成功したとは思えないが、画期的な心理描写を映像化しているのは流石。
絶頂期のI・バーグマンはやや硬いがメガネをかけた女医役にはぴったりで外したときがひときわ美しい。G・ペックは3作目・29歳なので、のちの渋い2枚目ぶりと比べると頼りなさを感じるが、かえって記憶があやふやなこの役にはあっていた。ヒッチコック作品の常連レオ・G・キャロルやマイケル・チェーホフががっちり脇を固めてストーリーに厚みを持たせている。お馴染みのヒッチコック探しは難しいが、エレベーターの男に注目。