晴れ、ときどき映画三昧

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『エディット・ピアフ ~愛の賛歌~』 90点

2007-10-06 11:06:32 | (欧州・アジア他) 2000~09

エディット・ピアフ ~愛の賛歌~

2007年/フランス=チェコ=イギリス

壮絶でピュアなE・ピアフを見事に描いた傑作

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 90

ストーリー ★★★★☆90点

キャスト ★★★★☆90点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆90点

「愛の賛歌」「ばら色の人生」のヒット曲を歌った大歌手エディット・ピアフの47年を綴った伝記映画。オリビエ・ダアンが監督・脚本化し、マリオン・コティヤールが主演。
幼いピアフは父の兵役、母の蒸発で祖母(カトリーヌ・アレグレ)の娼家に預けられる。娼婦ティティーヌ(エマニュエル・セニエ)に可愛がられるが、栄養不足で失明の危機を味わう。聖テレーズへの祈りが通じたか奇跡的に回復したことが、後の彼女の人生を大きく左右することになる。
やがて除隊後の父に引き取られ、街頭で歌を歌いながら生活の糧となってゆく。ある日ルイ・ルプレ(ジェラール・ドパルデュー)に見出されキャバレーで売れっ子になるが、彼の怪死で容疑者となり、また下町へ舞い戻るハメになる。
作家で詩人のレイモン・アッソに初めて歌の特訓を受け、再デビューしたのを契機に再び脚光を浴びる。その後は結婚・離婚、交通事故、アル中・麻薬中毒とジェット・コースターのような生活を送りながらも、どんどんステージ歌手として名声を高めて行く。
’63リヴィエラで死去するまで、壮絶な人生を送るが、なかでも恋人のボクサー、マルセル・セルダン(ジャン=ピエール・マルタンス)とのドラマチックな別れや、麻薬に溺れ体が蝕まれながら次々とヒット曲を生んで行く後半生がこの映画のハイライト。とてもリアルに再現されている。
何より主演のマリオン・コティヤールが素晴らしい。実年齢を遥かに超えた晩年の衰えたピアフを演じた様は、よっぽど研究し尽くしたに違いない。
歌はピアフの録音で吹き替えたのも成功した要因だろう。
実在の著名人(ジャン・コクトー、イヴ・モンタン、ジョルジュ・ムスタキ)との交友も多いが、マレーネ・デートリッヒがワンシーン出ただけに留めたのも、話が散漫にならず良かった。
注文を付けるとすれば、登場人物が整理され過ぎ、誰だか分からない脇役陣が多いことと、時代が交錯して話題転換に付いて行くのに眼が離せない所が随所に見られたところか?
原題はイヴ・モンタンとの恋愛中の大ヒット曲「LA VIEN ROZE」。日本でも越路吹雪などカバー曲が多い「愛の賛歌」も要所で流れ邦題になっているが、この映画に相応しいテーマ曲はE・ピアフの心境そのままを歌詞にした「水に流して」だろう。