あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 大三島キャンプツーリング&『旅する櫂伝馬』in鶴姫まつり(2)

2010年07月19日 | 旅するシーカヤック
2010年7月18日(日) テントの中で目を覚ます。 朝5時。 いつもの起床時間だ。
気温はそれほど高くなく、メッシュテントでは、薄いシュラフを上に掛けてちょうど良い感じ。 快適な目覚めである。
 
外は靄の瀬戸内海。 さあ、今日は鶴姫まつりの日だ!
***
東屋の下で朝食を摂り、テントを片付けて着替える。 今日は朝の高速艇で大崎上島に渡る予定。

大崎上島は、鶴姫まつりの櫂伝馬競漕には前から出場しているのだが、これまでの2つの地区に別れていた。 それが今年は『旅する櫂伝馬』で宮島まで行ったことを切っ掛けに、『旅する櫂伝馬チーム』として出場することになったのだそうだ。
さらに、これまでは船で大三島まで渡っていたのだが、今年は初めて櫂伝馬で渡ることになったのだ。 なんとも嬉しいじゃないか!

そして競漕そのものは真剣勝負なので、経験もなく年寄りの私には出番はないのだが、大崎上島から大三島までの航海では水夫の一人として漕がせてもらえるとのこと。 『旅する櫂伝馬』が大好きな私は、そんなオファーに、一も二もなく飛びついた。
 
一貫目の桟橋に着くと、メンバーが集まりはじめていた。 そして今回も、宮島編に続き、広島テレビさんが密着取材である。

『こんにちは。 またよろしくお願いします』 『それにしても、今日は暑いねえ。 こんな暑さじゃあ、宮島まで行かれんね』
『大三島の宮浦いうたらどっちの方向になりますか?』 『それはね、あっちの方よ。 距離にして8キロほど、櫂伝馬で1時間じゃね』
『いやあ、あそこじゃったら見えとりますもんねえ。 宮島に比べたら楽勝楽勝』
 
いやあ、嬉しい限り。 宮島までの一泊二日の旅を経験したことで、目の前にある大三島までの『海の道』がつながったようだ。

そう、経験を積めば積むほど、海に対する見方が変わってくるのだ。 私も、瀬戸内海をシーカヤックで兵庫県の家島から山口県の下関まで漕ぎ、その後、下関から日本海を北上して島根半島までつないだ経験は、私のカヤックスタイルに大きな影響を与えていると実感している。

『旅する櫂伝馬』で瀬戸内海の海の道を繋げていくこと。 これぞ、『瀬戸内海洋文化の復興、創造そして継承』である。
***
さあ、出発だ。 櫂伝馬一艘と、伴走船で出発。
『ヨイサ』 『ホイサ』 『ヨイサ』 『ホウリャ』 『トントントン』 『トントントン』
太鼓に合わせ、船頭と声を掛け合いながら、猛烈に蒸し暑い海を漕ぎ進む。 額からは汗が流れ、目にしみる。

それでもなんでも気持ち良い。 櫂伝馬を漕いで島に渡ると言うのは、なんとも楽しいものである。 動力船がなかった昔は、みんな手漕ぎだったんだからなあ。

漕いでいる途中、大横島を超えた辺りで、『トビウオ』の飛翔を見た。 一匹だけであったが、珍しく瀬戸内で見つけたトビウオ。
三浦や日本海では何度か見たことがあるが、瀬戸内では本当に珍しい。 これは良い事ありそうだ!
***
11時。 予定通りほぼ1時間で大三島の宮浦に到着。
 
櫂伝馬競漕は13時半からなので、まだまだたっぷり時間がある。
桟橋でメンバーと話していると、ブログを拝見している大崎上島の『やっさん』さんがシーカヤックを漕いで来られた。 『櫂伝馬競漕があるんで、来られているんじゃないかと思っていたんです』との事。 嬉しいなあ。

今朝、一貫目の桟橋で、昔シーカヤックのイベントでお会いした人と再会した事、その方から『やっさんさん』が、シーカヤックを手に入れた経緯を伺った事などをお話しした。 いやあ、世間は思ったより狭いものである。
***
 
お昼ご飯は、今治名物? 焼豚玉子飯をセレクト。 日陰に入り、しっかりと混ぜ込んで、おいしいご飯をぱくつく。
 
***
午後1時半。 櫂伝馬競漕が始まった。
 
トーナメント方式のレース。 啓志君に聞くと、大崎上島の得点方式のレースと違って、トーナメント方式は特別の緊張感があるとの事。 そのうえ、ここ大三島の櫂伝馬は、舟の大きさも櫂の大きさも、大崎上島の櫂伝馬とはかなり違っており、漕ぎ難そうだ。

そんななか、出番が近付くとみんな真剣な表情/戦闘モードに入り、気分は盛り上がる。 今日は、元気な若手を中心とした選抜メンバーでレースに参戦だ。
 
予選では、激しい接戦を制して1着でゴール。 本戦の初戦も、これまた熾烈な戦いであったが、鼻の差で一着ゴール。 手に汗握る展開だ。
 
準決勝。 強豪相手に、頑張ったが、残念ながら2着となり、ここで『旅する櫂伝馬チーム』の、今日のレースは終わった。
 
『みんな、ご苦労さん。 全力を出し切ったから仕方ない。 でも、これで良いわけじゃない。 来年こそは、今回の経験を活かして絶対勝とう』
皆の悔しそうな顔が印象的であった。 そう、櫂伝馬競漕は、出場する事に意味があるわけじゃないのだ。 勝つために練習を重ね、真剣勝負で勝つ事こそが目標なのである。

『スマートで、目先が利いて、几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り』 まさにこの通りである。 この負けじ魂があれば、櫂伝馬は安泰であろう。

梅雨の明けた瀬戸内海。 土曜日は大三島でシーカヤックツーリング&無人島での海水浴を楽しみ、翌日は大崎上島から大三島まで、『旅する櫂伝馬』のメンバーと島を渡る航海を堪能した。
今年30漕ぎ目が櫂伝馬になったことは、なにより嬉しいことである。 ああ、瀬戸内にも夏がやってきた!

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瀬戸内シーカヤック日記: 大三島キャンプツーリング&『旅する櫂伝馬』in鶴姫まつり

2010年07月19日 | 旅するシーカヤック
2010年7月17日(土) 台海水浴場に到着。 この週末の目的地は大三島。 明日18日に大三島の宮浦港で『鶴姫まつり』が開催されるのだが、そこでは櫂伝馬競漕も行われる。 今回、大崎上島からは、『旅する櫂伝馬チーム』として参加するとの事で、明日はその応援なのだ。

今日はこの海水浴場&キャンプ場をベースに、大三島をのんびりまったりと堪能する予定。
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7月からは、このキャンプ場がオープンするので水もトイレも利用でき、出艇にも便利な最高のベースキャンプ。
管理棟で手続きを済ませ、テントを張る。 今日から夏仕様のメッシュテント。

管理人さんに伺った話では、さすがにお盆の時期はキャンプ場の利用者も多いが、子供が減っているから海水浴を含め、年々利用者は少なくなっているとの事。

『橋が架かっても、特にお客さんが多くなった言う事はないねえ。 やっぱり子供が減りよるからね。 それより、こんなに整備される前は、松並木のある海水浴場で、ええ雰囲気じゃったそうな。 その頃は、島にも子供が多うて、海水浴場も賑やかじゃったいうよ』

それでも見ていると、駐車場の車は神戸や大阪など関西方面のナンバーが多い。 高速料金も安い今、雰囲気も水質も良く、関西方面から子供連れで海水浴&キャンプに来るにはちょうど良い場所なのだろう。
 
『いやあ、今日は暑い。 テントを張るだけで汗が噴き出してきましたよ』 『どうやら梅雨が明けたらしいよ』 『そうですか! 今日は、のんびり大横島まで漕いできます』 『じゃあ気をつけて』
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先日の大雨が嘘のような、梅雨明け直後の穏やかな瀬戸内に漕ぎ出す。
 
こんな暑い時期は、チョロっと漕いで誰もいない静かな浜に行き、のんびり海水浴を楽しむのが一番だ。
 
静かなプライベートビーチ。 日陰に座り、きれいな海を眺めながら、途中で買い込んで来たお弁当を食べる。
おなじ『しまなみエリア』と言っても、大きな島の海水浴場と、少し離れた無人島では、その水質の差は歴然としている。 ちょっと沖に出るだけで、こんなに気持ち良い海があるのだ。

食後はもちろん海へ。 パドルフロートを枕代わりに、透き通った海に浮かび、空を眺めながらプカプカと漂う。 『おお、なんと気持ちええことよのう』 40代半ば過ぎのオヤジがすることか? なーんて気もするが、好きなものは仕方がない。 ほんと、頭の中が空っぽになるくらい気持ちヨイのだ。

俺はどちらかというと、漕ぐことが好きと言うよりは、こんな場所に自分の力で自由に行くことができる手段としてのシーカヤックが好きだ。 行きたい場所が15分の場所なら15分漕げば満足だし、目的の浜や島が2時間先にあれば、2時間漕ぐだけのこと。

ここは無人島の浜。 誰が見ているわけでもないし、独りの時間をたっぷりと楽しむこととしよう。 プカリ、ぷかぷか。 ふわり、フワフワ。
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無人島の『なんちゃってプライベートビーチ』で、たっぷり1時間半のリゾート気分を満喫し、キャンプ場に漕ぎ戻る。
明日は櫂伝馬競漕の応援なので、シーカヤックの潮抜きをし、道具を片付けた。
 
シャワーを浴びて着替えると、歩いて近くの温泉、マーレグラッシアへ。 ここの潮風呂がまた気持ちよいのである。
サウナでたっぷりを汗を出し、水風呂で体を冷やして準備完了!
 
目指すは、もちろん『大漁』
 
開店と同時にお店に入り、まずは生ビール。 『いただきまーす。 ゴクリッ。 グビグビ、グビリ』 『あー、旨い。 最高』

タコブツはコリコリ。 海鮮丼はボリュームたっぷり。 ビールは冷え冷え。 魚卵はサクリ。 うーん、やっぱり良い店だ。
〆は大漁名物の一つ、麦味噌のお味噌汁。 『ごちそうさまでした』
***
午後6時過ぎの最終バスに間に合った。 歩いても2,30分なのだが、せっかくなのでお世話になる。
乗り込むと乗客は私一人。 海水浴場最寄りのバス停までは、90円である。

浜に戻ると、ちょうど日没前。 火照った体を海で冷やし、水道水を浴びてサッパリする。
 
東屋の下に陣取り、沈み行く太陽を眺めながらビールをプシュッ。 グビリ、グビグビ。 プハーッ、ウマい。
 
日没前後は、刻一刻と空の表情が変わっていく。 そんな空を眺めながら浜でビールを飲む一時。 キャンプツーリングの一日の中でも一番好きな時間である。
 
耳を澄ませると、遠くから太鼓の音が聞こえてきた。 あ、あれは天満で櫂伝馬を練習している太鼓の音だ!
十七夜祭に向けて、毎日行われている櫂伝馬の練習。 対岸の大三島にまで、その太鼓の音は聞こえているのだなあ。

櫂伝馬の太鼓の音を聴きながら、宮島への旅を想い出し、また明日の櫂伝馬競漕のことを思いつつ、ビールをゴクリ。 うん、今日は良い夜だ!

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