アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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韓米合同軍がミサイル発射、朝鮮半島の緊張高めるユン政権

2022年06月07日 | 日米軍事同盟と朝鮮・韓国
   

 韓国とアメリカの合同軍が6日、日本海に向けてミサイル8発を発射しました(韓国軍7発、米軍Ⅰ発)。朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が5日に8発のミサイルを発射したことへの「対抗措置」だとしています。しかし経過を見れば、挑発しているのはアメリカ・韓国の側であることは明白です。

 問題の元凶は韓米合同軍事演習です。

 そもそも朝鮮戦争(1950・6・25~)は停戦協定が調印(53・7・27)されただけで、いまだに終結していません。その状態で、韓国とアメリカが合同軍事演習を行うことがいかに朝鮮にとって脅威であり、朝鮮半島の緊張を高めるものであるかは明白です。だから朝鮮は、再三にわたって韓米合同演習を行わないよう要求してきました。

 その外交努力の1つの到達点が、朝米シンガポール会談(2018年6月12日)で、トランプ大統領(当時)は記者会見で、「米韓演習は挑発的」と認め、「中止」を言明しました(同6月13日付共同通信)。

 その前段には、朝鮮・キム・ジョンウン(金正恩)委員長と韓国・ムン・ジェイン(文在寅)大統領の歴史的な板門店会談(2018・4・27)がありました。

 ところが、ムン氏に代わって5年ぶりの保守政権となったユン・ソクヨル(尹錫悦)氏が大統領に就任(5月10日)した直後から、事態は急速に変化してきました。

 5月24日、ユン大統領はバイデン米大統領との会談で、「韓米合同軍事演習の強化」を合意しました(写真左)。

 6月2~4日、韓米合同軍は沖縄南東海上で、米原子力空母も加わった軍事演習を強行しました。原子力空母が参加した合同軍事演習は2017年以来です。

 朝鮮はそれに対抗して8発のミサイルを発射し、韓米合同軍がさらにそれを口実に同じ8発のミサイルを反射したもので、どちらが挑発したかは明らかです。

 日本政府やNHKなどメディアは、今回も朝鮮のミサイル発射を「挑発」と言い、韓米のそれを「対抗措置」と言っていますが、これは事実経過を逆に描く典型的なプロパガンダ(偏向報道)と言わねばなりません。

 ユン氏は大統領選挙の時からムン前大統領がすすめてきた「南北融和」政策を「失敗」と断じてきました。バイデン大統領との会談では合同軍事演習の強化とともに、アメリカの核の「拡大抑止」でも合意しました。

 そして、ミサイルを発射した6日には、「より根本的で実質的な安全保障能力を備える」と述べ、軍事力・韓米軍事同盟のいっそうの強化を表明しました(写真中)。

 ユン氏のこうした言動は、ウクライナ情勢に乗じたバイデン政権の東アジアにおける覇権主義強化とあいまって、朝鮮半島、東アジアの軍事的緊張を急速に高めています。

 この情勢に日本はもちろん密接に関係しています。

 松野博一官房長官は6日の会見で、朝鮮を非難すると同時に、「反撃能力(敵地攻撃能力)を含むあらゆる選択肢」の検討、軍事力の「抜本的強化」をあらためて表明しました(写真右)。

 さらに今後予断を許さないのが、「日韓米3ヵ国合同軍事演習」をめぐる動きです。
 現在は日米、韓米がそれぞれの軍事同盟によって合同演習を重ね、アメリカを中心に間接的に連携していますが、さすがに3ヵ国の合同演習はおこなわれていません。

 それをバイデン政権は韓国に再三要求しています。韓国側はいまのところ承諾していませんが、ユン大統領の言動から、今後韓国が応じる可能性はけっして小さくありません。

 もし日韓米合同軍事演習が強行されれば、明白な憲法違反(集団的自衛権)であるばかりか、朝鮮半島の緊張激化に日本が直接関与する重大な画期となります。絶対に容認することはできません。
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