アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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自衛隊統幕が自ら予算査定、レール敷いた安倍政権

2022年08月10日 | 自衛隊・軍隊
   

 きのうのブログで、自衛隊の策動が強まっていると書きましたが、9日付地方各紙(共同配信)に驚くべき記事が出ました。自衛隊「制服組(武官)」を統括する統合幕僚監部(統幕)が、軍事費(防衛予算)の査定に加わった、というのです。軍部(陸自、海自、空自)が要求する兵器をお手盛りで認めようとするもので、軍部の権限強化はここまできたか、という思いです。

 防衛省が財務省に要求する予算の査定は、従来「背広組(文官)」の防衛政策局と整備計画局が行ってきました。「背広組」ももちろん防衛官僚で、防衛省・自衛隊の利益を図ることに変わりはありませんが、それでも「制服組」=実戦部隊が直接予算編成に口出しすることは抑えてきました。その歯止めが無くなったのです。

 共同の記事は、「背広組のチェック機能が低下し、制服組の軍事的意見に偏重する恐れがある」「「文民統制(シビリアンコントロール)」の原則が脅かされる懸念もある」「省内からは…「予算は文民統制の要。原則逸脱につながりかねない」と疑問も出ている」など、省内にも疑問の声があると報じています。

 もともと「文民統制(シビリアンコントロール)」という言葉は、自衛隊の違憲性をカムフラージュするイチジクの葉でしかありませんでしたが、もはやその葉っぱすら公然と取り除かれようとしています。

 見過ごせないのは、こうした統幕の権限強化は、2015年6月の防衛省設置法改悪で、「背広組」が「制服組」をコントロールする「文官統制」の規定を全廃したことが大きな転機になったことです。

 2015年といえば、安倍晋三内閣が憲法違反の集団的自衛権行使を容認する戦争法(安保法制)を強行成立(9月19日)させた年です。
 防衛省内の軍部(統幕)の権限強化と、戦争法(集団的自衛権行使容認)はまさに一体のものです。

 また、共同の記事(9日付)によれば、15年の防衛省設置法改悪は、「災害派遣などでの自衛隊の地位向上を背景に」行われたといいます。自衛隊の「災害出動」が「制服組」の権限強化の理由づけになったのです。「災害出動」の狙いがここに表れています。

 岸田・自民党は「防衛予算の2倍化」を掲げ、来年度予算では通常予算とは別に、必要な兵器のリストを示し予算額は後で決めるという「事項要求」というトリックが導入されました。財政民主主義に反するばかりか、軍事費は青天井になりかねません。

 こうして自衛隊・軍部の権限強化と軍事費の大膨張が、同時並行的に強行されようとしています。そのレールを敷いたのが安倍晋三元首相であったことを、改めて想起する必要があります。
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