アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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統一教会に「厳正対処」なら「安倍国葬」やめよ

2022年08月11日 | 日本の政治・社会・経済と民主主義
   

 岸田文雄首相は10日の組閣にあたっての記者会見で、旧統一教会(現「世界平和統一家庭連合」。実態は変わっていないので以下「統一教会」とします)について、自民党との関係を重ねて否定し、調査さえ行うつもりはないと繰り返しました。

 また、大臣任命にあたっては、「政治家の責任において当該団体(統一教会)との関係を見直し厳正に対処すること」を条件にしたと述べました。
 統一教会に対する世論の厳しい批判と支持率低下の中で、“脱・統一教会”をアピールしようとしたものです。

 しかし、統一教会との関係を自他ともに認め、10日の会見でも今後も関係を断つと明言しなかった萩生田光一氏(安倍晋三元首相の最側近、写真右)を党政調会長に任命した他、新大臣の中にも統一教会との関係が明らかになっている議員が6人(10日の朝日新聞デジタル)いるなど、そのメッキはすでに剥がれています。

 同時に見逃せないのは、岸田氏が“脱・統一教会”をアピールしようとすればするほど、重大な矛盾に陥るということです。
 それは、統一教会に「厳正対処」するという内閣が、統一教会との深い関係のために銃撃された安倍晋三氏をなぜ「国葬」にするのか、できるのか、ということです。

 安倍氏は統一教会を選挙と反民主的政策遂行の手足に使い、統一教会は安倍氏を最大の広告塔にしてきました。それはまさに岸田氏が「厳正に見直す」とした統一教会との不適切な関係の典型です。

 岸田氏は10日の記者会見で、安倍氏が統一教会のダミー団体(天宙平和連合)の大会にビデオメッセージを送り、韓鶴子総裁らを賛美した(写真中)ことについて見解を問われ、「安倍元首相の判断なのでコメントは控える」と逃げました。これほど統一教会と政界の関係が問題になっているとき、元首相と統一教会の関係について首相が見解表明を避けることは許されません。

 また岸田氏は同じ会見で、あくまで「国葬」を行うのかとの質問に対し、安倍氏の死は「民主主義の根幹である選挙運動中の非業の死」だとし、あたかも政治テロであるかのように言い、それが「国葬」の理由の1つだとしました。

 しかし、これは完全な偽りです。事件後明らかになったように、安倍氏の殺害は政治テロではなく、統一教会との深い関係に対する山上徹也容疑者の恨みによる犯行です。安倍氏の死は、「国葬」の理由になるようなものではなく、逆に、「国葬」などとんでもないという性格のものです。岸田氏はそれを意図的にすり替えようとしているのです。

 反社会的カルト団体・統一教会と個人的に密接な関係を結んだだけでなく、統一教会と政界の橋渡しを演じた安倍氏。それが原因の怨恨で銃撃された人物の葬儀が「国葬」とされ、巨額の税金が使われ、「弔意」が有形無形に強要される。こんな理不尽なことはありません。

 岸田首相が統一教会との関係に「厳正に対処」するというなら、その1点で、安倍氏を「国葬」にはできないはずです。「安倍国葬」の閣議決定は直ちに撤回されなければなりません。
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