長崎市が9日の「平和式典」にイスラエルを招待しないことに対し、アメリカをはじめとするG7各国とEUが政治的圧力を加える「書簡」を送っていたことが分かりました。
またアメリカやイギリスなどは「式典」への駐日大使の出席をとりやめました。
イスラエルのジェノサイドを容認・支援するアメリカはじめG7 の実態をさらけ出したもので、言語道断と言わねばなりません。
「書簡」の存在は朝日新聞が7日スクープとして報じました(以下抜粋)。
< 書簡は7月19日付。主要7カ国(G7)のうち、日本を除く米、英、仏、カナダ、ドイツ、イタリアとEUの大使や代理大使が直筆のサイン付きで、長崎市の鈴木史朗市長あてに送付した。(写真左)
書簡によると、各国は79回目の平和祈念式典への招待を受け取ったとし、「毎年開かれる追悼行事と、平和のメッセージを伝え合うことの大切さを認識している」との文章で始まった。
一方で書簡は、「しかしながら、在日イスラエル大使館に招待状が届かないことに、共通の懸念を持っている」と提起。イスラエルと、ウクライナに侵攻したロシアや同盟関係にあるベラルーシを同列に扱うことは、「残念なことであり、誤解を招く」としている。
その上で、長崎市長に対し、式典が持つ普遍的なメッセージを保つためにも、イスラエルにも招待状を送って欲しいと要請。もしイスラエルが除外されたら、6カ国とEUもハイレベルの参加が難しくなると結んでいる。>(7日付朝日新聞デジタル)
この記事に対し、弁護士の明石順平氏は7日、朝日新聞デジタルに次のように投稿しています。
< この書簡と同じ日に、国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)は、イスラエルに対し、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区などでのイスラエルの占領政策は国際法違反であり、「占領をできるだけ早く終結させなければならない」との勧告的意見を言い渡している。
記事によると、駐日大使らは「イスラエルと、ウクライナに侵攻したロシアや同盟関係にあるベラルーシを同列に扱うことは、「残念なことであり、誤解を招く」」と述べているようである。しかし、ICJから国際法違反と指摘されているのだから、同列に扱っても「誤解」ではないだろう。私は長崎市の判断を支持する。>(7日付朝日新聞デジタル)
イスラエルのガザ攻撃がジェノサイドだというのは世界の常識です。
たとえば「グローバルサウス」の中心国の1つであるブラジルのルラ大統領は、すでに4月30日の日本メディアのインタビューで、「イスラエルについて「国連(の停戦決議)を無視してジェノサイド(集団殺害)をしている」と厳しく非難」(5月1日付朝日新聞デジタル)しています。
「ロシアと同列に扱うことは残念」など言うなら、イラクに対するアメリカの空爆(2003年)やリビアに対するアメリカ、イギリス、フランスの空爆(2011年)などについてはどう釈明するのでしょうか。G7 の「二重基準」は明白です。
とりわけ許せないのはアメリカです。「8・9長崎平和式典」は何のため、だれを追悼して行われるのでしょうか。その原因を作りだした張本人(原爆投下の国際法違反の主犯)はアメリカではありませんか。
そのアメリカが長崎市に「書簡」で圧力をかけ、思う通りにならないから駐日大使を欠席させるというのです。厚顔無恥も甚だしいと言わねばなりません。
こうしたアメリカを中心とするG7 に日本も加わり、「核抑止」(核兵器維持・拡散)やガザ・ウクライナの事態に一体となった行動をとっているのです。その重大性に日本の市民は改めて目を向ける必要があります。