アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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イスラエル招待し市民排除する「広島平和式典」

2024年08月06日 | 日本の政治・社会・経済と民主主義
   

 「8・6平和記念式典」をめぐる広島市政(松井一実市長)の反民主性・自民党政権追随が強まっています。

 今日の「式典」には、昨年、一昨年に続いてロシア、ベラルーシを招待しない一方、ガザでジェノサイドを続けているイスラエルを招待します。明らかな「二重基準」です。

 イスラエルのガザ攻撃が始まった昨年10月以降毎日、原爆ドーム前で抗議活動を続けている市民団体「広島パレスチナともしび連帯共同体」の田浪亜央江・広島市立大准教授は、「(イスラエル)招待は世界で広がる抗議運動を愚弄している。式典参加を攻撃の正当化に利用される恐れもある」(3日付京都新聞=共同)と批判します。

 広島市は22年の「式典」で当初ロシア、ベラルーシも招待する方針でしたが、「外務省の反対意見」(3日付共同)で招待を見送りました。

 広島市立大の湯浅正恵教授は、「松井一実市長の下で政府に追随する姿勢が顕著になっている」(3日付共同)と指摘します。

 「式典」当日、会場周辺でのデモや集会など市民活動に対する規制は2019年から始まりましたが、今年は規制をさらにエスカレートさせています。会場である平和公園の「入園規制」の範囲を大幅に拡大したのです。

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)の機関紙「ジャーナリスト」(6月号)は、「根本から問われる広島平和記念式典」と題して警鐘を鳴らしています。

 それによると、広島市は5月7日に「入園規制」に関する「報道資料」を配布しました。「式典開始3時間前の午前5時から9時までの4時間、公園利用者の入場を規制する」とし、その間の「拡声器、プラカード、ビラ、のぼり、横断幕等」の使用を禁止するとしています。

 そして、そうした規制の範囲を、「式典」が行われる「公園の南半分エリア」だけでなく、今年から「公園の北半分エリア」にも拡大するというのです。

「公園の北半分は…原爆の子の像や韓国人原爆犠牲者慰霊碑(写真右)、身元が確認されず引き取り手がない数万柱の遺骨を納めた原爆供養塔などがある。そして、元安川を隔てた対岸には原爆ドームがある。市は、これらをすべて含めた公園全域を規制するというのだ」(「ジャーナリスト」6月号)

 広島市の「入園規制」に対し、田村和之・広島大名誉教授(行政法)は、「今年の平和記念公園の入園規制は公園条例に背くもので問題である」「自由使用の都市公園での表現活動の制限は、いかなる見地から見ても違憲・違法だ」(同「ジャーナリスト」)と指摘しています。

 松井市長が強行しているイスラエル招待や「入園規制」「市民活動の規制」は、たんに広島市の問題ではありません。松井氏は広島を地盤とする岸田文雄政権に追随し、岸田氏はイスラエルを支援するアメリカに追随する。

 こうした重層的追随関係によって、市民の「表現の自由」が侵害され、イスラエルのジェノサイド、日米の「核拡大抑止」などを批判する市民の声が抑圧されていることは、日本の市民・市民運動全体の問題です。
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