アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「コロナ後遺症」研究の最前線と岸田政権の無策

2022年06月17日 | コロナ禍と政治・社会
    

 通常国会が閉会した15日夕、岸田文雄首相は記者会見で内閣に「感染症危機管理庁」を設置し、専門組織としてアメリカのCDC(疾病対策センター)に倣って「日本版CDC」を創設すると述べました。

 参院選に間に合うように「専門家会議」に報告書を急がせ、「コロナ対策」をアピールしたものですが、これで岸田政権のコロナ無策を覆い隠すことはできません。驚いたことに1時間の会見中、岸田氏は「コロナ後遺症」については一言も触れませんでした。記者たちも誰も質問しませんでした。

 「コロナ対策」において後遺症の研究・対策は不可欠であり、現場の医師は今後ますます重大な事態になってくると警鐘を鳴らしています(11日のブログ参照)。

 欧米諸国はすでにその対策に力を注いでいます。たとえば「CDC」の本家アメリカは、「コロナ感染者の5人に1人はなんらかの後遺症に苦しんでいる」との分析の下、研究をすすめています。

 その中で、後遺症で認知機能障害が起きるのは、コルチゾールというホルモンの血中濃度が大幅に低下するためではないかというところまで突き止めています。

 また、長期にわたって後遺症を訴えた人の75%は感染した時に入院治療を受けていない人だったことも分かっています。

 研究に携わっているイエール大学医学部の岩崎明子教授(免疫学)(写真右)は、「全く症状が出なくても、2~3カ月するとロングコビッドみたいな症状が出だす人もいる」とし、「無症状・軽症でもコロナ後遺症になるリスク」の研究をすすめてきました。

 その結果、従来のワクチンが重症化防止を主眼に開発されたにのに対し、感染自体を食い止めるワクチンが必要だという結論に達しました。そこで考えられているのが、鼻・喉の粘膜に抗体をつくる「経鼻ワクチン」です。

 岩崎教授は、「経鼻ワクチンを使うと感染をすべて止めることができる、本当にかからなくてすむと私たちは期待しています」と述べています。(以上、14日のNHK国際報道2022「コロナ後遺症研究の最前線」より)

 「経鼻ワクチン」ができれば画期的です。研究の進展を期待したいものです。

 こうしてアメリカでは「コロナ後遺症」を「ロングコビッド」として重視し、原因・治療の研究を進めています。
 日本でこうした研究が行われているという話を聞いたことがありません。「日本版CDC」と名前だけアメリカを真似た“入れもの”をつくっても対策がすすむわけでないことは明らかです。

 多くの後遺症患者を診ている平畑光一医師が指摘したように、①後遺症を診る病院の拡充。そのための診療報酬の引き上げ②患者生活のサポート。とくに傷病手当金の出ない自営業者・フリーランスらの支援―は政府の喫緊の責任です(11日のブログ参照)。

 安倍・菅・岸田と3代にわたる自民党政権の「コロナ対策軽視」に明確な審判を下さなければ、日本のコロナ・感染症対策の遅れは取り戻せません。
 
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