アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記202・BTSの「Tシャツ」と「徴兵制」

2022年06月19日 | 日記・エッセイ・コラム
  

 韓国の、いや世界の人気グループ・BTSが14日、「活動休止」の意向を明らかにした。動画でリーダーのRM氏が、「問題はとにかくK―POPというもの、アイドルというシステム自体が人を熟成させていないように思える。…成長する時間がありません」と話している(15日の朝日新聞デジタル)。

 人気絶頂の中でも自分たちの成長を追求し続け、芸能界の問題点を指摘する。いかにも、ヘイトクライムなどの社会問題について積極的に発言し続けている彼ららしい。

 BTSで思い出すのは、「Tシャツ問題」だ。

 2018年11月、メンバーの1人が着ていたTシャツ(写真右)が問題になったことがある。原爆の写真がプリントされていたことから、「原爆Tシャツ」といわれ、被爆に対して無神経だという批判が日本の一部から起こった。

 しかし、このTシャツのモチーフは「原爆」ではなく「光復節」だった。日本帝国が敗北して朝鮮半島が「解放」された「1945年8月15日」のことだ。原爆はそれを示す1つの図柄だった。

 植民地支配からの解放・平和・民族の権利のアピール。それがT シャツを着ていたメンバーの思いだったと推測される。

 ところが日本人は、それを「原爆T シャツ」と批判した。そこには、被爆を被害者としてだけとらえ、被爆に至る侵略戦争・植民地支配の加害者としての自覚はなかった。

 BTSの「光復節Tシャツ」問題は、本人たちはその気持ちはなかっただろうが、日本人の歴史認識の致命的な弱点を浮き彫りにするものだった(2018年11月20日のブログ参照)。

 そんなBTSがグループとしての活動を「休止」するのは、ファンとは言えない私でも残念に思う。

 今回の「休止宣言」でもう1つ、考えさせられたことがある。それは韓国の「徴兵制」だ。

「韓国では男性に約2年の兵役義務があり、最年長のジンさんは30歳になる今年12月が入隊期限。全メンバーでの活動は難しくなることも影響を与えた可能性がある」(16日付共同配信)

 「兵役義務」・「徴兵制」が人権を侵害するだけでなく、文化・芸術を阻害するものだと改めて思う。

 同時に、韓国の「徴兵制」の背景には、朝鮮戦争がいまだに終結していないという厳然たる事実があることを見落とすことはできない。
 その朝鮮戦争は日本の植民地支配が根源であり、さらに日本は朝鮮戦争の米軍の兵站基地となった。そして今も、安倍晋三を筆頭に朝鮮戦争の終結・平和条約締結に反対し続けている。

 「Tシャツ問題」同様、「韓国の徴兵制」で考えねばならないのは、日本・日本人の朝鮮半島に対する加害責任だ。

 そして、「徴兵制」はもちろん、軍事同盟・戦力保持自体がない社会を、韓国の市民とともに目指したい。BTSがその輪に加わってくれたら、最高だ。

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