今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
オレンジの布地が僅かに残っていたので、黒基調の和傘プリントと組み合わせてみました。シブさもありながらお洒落に仕上がったと思います。お勧めの年代を問われてもすぐに思いつきませんね。若干年齢を重ねた「安東花子さん」にお似合いでしょうか。
お休み前日の14日、秋田県羽後町からひとりのおばさまがお訪ねでした。服装を見ただけで「ものづくり」に関心のある方だと直感しましたね。漂うオーラが「手作り感満載」でしたよ。おばさまはかねてから私のことを聞いていたそうで、『ようやく時間がとれたからまず行ってみようってねっ』。内陸縦貫鉄道に乗るのも目的の一つで、発車時刻までの小一時間を実演席に費やされました。
おばさまは老人施設に入所しているお年寄りをお相手に、様々な「手作り教室」を企画されているのだそうです。頭を使い手を動かし、綺麗なものを創ることで人様から褒められる。これが認知症予防に一役買うというわけです。おばさまの活動はまるでポランティア、こうした方々が世に多く存在するのを、私は常々感心して見聞きしておりました。
いわゆる「布草履」が広く世間に登場して十年以上が経ちました。私の草履もその歴史とほぼ合致します。公開実演を始めた頃は『あたしもやってるのっ』といった声が日常にありましたが、今では『昔やったことがあるわ』のほうが多くなりましたね。十年ひと昔とはよく言ったものです。確かに最近は「道の駅」に行っても、昔ほど布草履を売っていない気がします。流行が去った証しでしょう。
昨日仙台からの帰路を、珍しく一般道にしてみました。仙台市から国道4号線を北上し、大崎市で47号線に乗り換えます。鳴子温泉・鬼首峠から秋田県湯沢市に入るルートです。高速道路を乗り継ぐのと比較し二時間ほど多くかかりますが、のんびりドライブと思えば何ほどの苦はありません。
途中伊達正宗がかつて本拠としていた岩出山を通ります。そこの「道の駅」はこれまで寄った中で最も面白かったですね。
「あ・ら・伊達な道の駅」という名称にも心惹かれ立ち寄ってみました。規模としては決して大きくないのですが、店内の「手作り感」にやられましたよ。もちろん大量生産の既製品もあるのですが、地元民の手による少量生産品の比率がとても高かったです。カレーバイキングのレストランも良いですし、一個50円のカレーパンも良かったですね。ホールに飾られた巨大吊るし雛などは、好きな人にたまらないと思います。
この「道の駅」ならもしや…と思い、布草履を探してみました。するとあるじゃないですかっ。しかもこれまで見た布草履とは明らかにクオリティーが違います。研究の跡も分かりましたし、なにしろ編んだ数が推測されました。お名前も性別も年齢も分かりませんが、その布草履の作り手とはお会いしたいと思いましたね。
手作り感満載の「道の駅」であの布草履の製作実演をしていたら、どんなにお立ち寄りのお客様が喜ぶでしょう。近くには人口100万人を超える仙台市が控えています。充分商いになるでしょうし、作り手の生き甲斐にもなると思うんですよ。
あっ、そうなると角館草履の商いに影響が出ますかね。仙台市とその周辺は、大勢の常連さんがいる地域でした。