角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

手作り感満載の道の駅。

2014年07月18日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
オレンジの布地が僅かに残っていたので、黒基調の和傘プリントと組み合わせてみました。シブさもありながらお洒落に仕上がったと思います。お勧めの年代を問われてもすぐに思いつきませんね。若干年齢を重ねた「安東花子さん」にお似合いでしょうか。

お休み前日の14日、秋田県羽後町からひとりのおばさまがお訪ねでした。服装を見ただけで「ものづくり」に関心のある方だと直感しましたね。漂うオーラが「手作り感満載」でしたよ。おばさまはかねてから私のことを聞いていたそうで、『ようやく時間がとれたからまず行ってみようってねっ』。内陸縦貫鉄道に乗るのも目的の一つで、発車時刻までの小一時間を実演席に費やされました。

おばさまは老人施設に入所しているお年寄りをお相手に、様々な「手作り教室」を企画されているのだそうです。頭を使い手を動かし、綺麗なものを創ることで人様から褒められる。これが認知症予防に一役買うというわけです。おばさまの活動はまるでポランティア、こうした方々が世に多く存在するのを、私は常々感心して見聞きしておりました。

いわゆる「布草履」が広く世間に登場して十年以上が経ちました。私の草履もその歴史とほぼ合致します。公開実演を始めた頃は『あたしもやってるのっ』といった声が日常にありましたが、今では『昔やったことがあるわ』のほうが多くなりましたね。十年ひと昔とはよく言ったものです。確かに最近は「道の駅」に行っても、昔ほど布草履を売っていない気がします。流行が去った証しでしょう。

昨日仙台からの帰路を、珍しく一般道にしてみました。仙台市から国道4号線を北上し、大崎市で47号線に乗り換えます。鳴子温泉・鬼首峠から秋田県湯沢市に入るルートです。高速道路を乗り継ぐのと比較し二時間ほど多くかかりますが、のんびりドライブと思えば何ほどの苦はありません。
途中伊達正宗がかつて本拠としていた岩出山を通ります。そこの「道の駅」はこれまで寄った中で最も面白かったですね。



「あ・ら・伊達な道の駅」という名称にも心惹かれ立ち寄ってみました。規模としては決して大きくないのですが、店内の「手作り感」にやられましたよ。もちろん大量生産の既製品もあるのですが、地元民の手による少量生産品の比率がとても高かったです。カレーバイキングのレストランも良いですし、一個50円のカレーパンも良かったですね。ホールに飾られた巨大吊るし雛などは、好きな人にたまらないと思います。



この「道の駅」ならもしや…と思い、布草履を探してみました。するとあるじゃないですかっ。しかもこれまで見た布草履とは明らかにクオリティーが違います。研究の跡も分かりましたし、なにしろ編んだ数が推測されました。お名前も性別も年齢も分かりませんが、その布草履の作り手とはお会いしたいと思いましたね。

手作り感満載の「道の駅」であの布草履の製作実演をしていたら、どんなにお立ち寄りのお客様が喜ぶでしょう。近くには人口100万人を超える仙台市が控えています。充分商いになるでしょうし、作り手の生き甲斐にもなると思うんですよ。
あっ、そうなると角館草履の商いに影響が出ますかね。仙台市とその周辺は、大勢の常連さんがいる地域でした。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蘆名(あしな)を訪ねる旅。

2014年07月17日 | 地域の話
三連休初日の15日、やはり仕事が休みだった三女とふたり「スタジオジブリ原画展」を観てきました。場所は角館町平福記念美術館、武家屋敷通りの北端に位置します。角館を散策されたことのある方であればご承知でしょう。
「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」の原画、そしてジブリ映画の背景を数多く手掛けている男鹿和雄さんのイラストが展示されていました。男鹿さんのイラストは「田舎」をテーマにしたものですが、夏と冬がとても多いんですね。季節感の顕著なその時季の風景が、少年期に男鹿さんが暮らした秋田そのものなんだと感じました。

それにしてもどの画もその美しさに言葉を失いますよ。草履を編んだうえにこの画が描けたらどんなに仕事の幅が広がるでしょう。たとえばお買い上げの草履を手に持つ似顔絵を描いてあげられたら、角館の記念がさらに大きなものになるでしょうね。三女に『おめサ絵の才能があればなぁ』と言うと、『おやおや、親見でけれ』。まったくその通りであります。




15日午後からは一路仙台へ。仙台に暮らす次女が16日仕事が休みと聞き、この計画が素早く決まりました。仙台を拠点に「会津日帰り旅」です。新米ナースの仕事に悪戦苦闘している次女の気分転換もあったのですが、やはり会津にはかねがね私が行きたいと思っていました。かつてサラリーマン時代にルートセールスで何度か訪れましたが、そのときは鶴ヶ城さえ立ち寄ることもなく過ぎました。それは私が角館の歴史に無知だったことが大きく影響しています。

394年前角館の町割りを実施したのは、佐竹義宣の弟である蘆名義勝です。その蘆名家はかつて会津を二百年余りに渡って治めていました。この史実を知ってからは、いつかじっくり会津の町を観たいと思っていたわけです。会津といえばどうしても明治維新が頭に浮かびます。戊辰戦争の中でも最大の悲劇として伝わる会津戦争。もちろんそれも関心のあるところですが、今回はあえて「蘆名を訪ねる旅」としました。






「会津鶴ヶ城」。蘆名の時代は「黒川城」と呼ばれていました。敷地面積、堀の構造、城の規模、どれをとっても80万石とも100万石とも云われる会津らしいお城と思います。内部も観覧しましたが、展示品も案内文言も江戸時代からの紹介が多かったですね。蘆名家は伊達家との合戦に敗れ会津を追われ、その後しばらく伊達家がここを拠点とします。ですから蘆名時代の展示品がないのも無理はありませんね。







「石部桜」。鶴ヶ城と並び必ず立ち寄ると決めていた場所です。蘆名時代に重臣だった石部治部大輔の屋敷跡で、樹齢六百年と云われているそうです。まさに蘆名時代の「遺品」ではないでしょうか。昨年の大河ドラマ「八重の桜」でオープニングに流れた映像がこの桜です。今は屋敷跡の面影さえありませんでした。六百年の月日は、周囲を田んぼにその姿を変えています。






「飯盛山 白虎隊士集団自刃の場」。幕末日本史で知らない人は少ないであろう悲劇の現場ですね。16、17歳の彼らは、この場所から火の海と化した会津城下を見下ろします。ときの戦況と精神状態を想えば、鶴ヶ城が火に落ちたと見誤っても仕方がなかったでしょう。



新政府軍を「官軍」と呼ぶ土地が多いと思います。新政府軍に味方した秋田佐竹藩でもそう呼び、角館には「官軍墓地」もあります。一方会津では「西軍」と呼ぶのだそうです。帝である「官」に反乱した覚えはなく、最期まで「われわれに非はない」との想いがその呼び方にも表れているのでしょう。

五時間弱の滞在となった会津は、やっぱり行って良かったです。大正ロマン漂う「七日町通り」も歩いてみましたが、ショッピングを楽しみたい方々には良い場所と思いました。ただ水曜定休のお店がことのほか多く、名物を食する機会もなかったです。旨いものは二の次で臨みましたから、その点についてなにほどの不満はありません。

人口12万人、観光客数300万人、鶴ヶ城入場者数91万人、歴史630年。間違いなく東北屈指の観光地でした。ただし、訪れる旅人が何を以て「満足」とするか。これを考えたとき角館が足元にも及ばないとは到底思えません。394年前に角館を町割りした蘆名義勝は、武家屋敷通りの道幅を当時の江戸メインストリートと同じに設計しました。その道幅は今でも変わらず遺されています。そのとき蘆名家が目指したものはなんだったのか。「敗けの論理」などあろうはずがありません。

明日から草履実演再開、ひとつ引出しを増やした角館の草履職人であります。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日から三日間お休みです。

2014年07月14日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
紫ベースに黒を組み合わせました。色調としてはシブいものの、落ち着いた和柄の競演が私は好きですね。赤系が一部に入ると可愛らしさで人気なのはもちろんとして、ときにこうしたシックな配色を好む女性が必ずいらっしゃるものです。「今日の草履」も大阪市からお越しのおばさまがお持ち帰りくださいました。

こちらのおばさまはご夫婦旅で、ちょうど一年前に初めてお買い上げくださったとのこと。『主人に草履買いに行くわよってまた来ちゃった』と苦笑いしていました。一年ではまだお買い換えに早いので訊いてみると、『それがねぇ、あんまり褒める人がいるもんだからあげちゃったのよ~』とまたまた苦笑いです。

そのときの23cm在庫は「今日の草履」を含めて二足でした。中でも「今日の草履」は編みあがって間もなくでしたから、ここにもご縁を感じるわけですよ。おばさまもことのほか喜んでいましたから、ご主人を説得しての二年連続秋田の旅が正解だったと思ってくれたでしょう。

東大阪市からお越しのご夫婦旅。大阪が二件続きました。奥様が履き心地を気に入ってくださったのですが、ぴったりサイズは22cmで在庫がピンク色ひとつしかありません。足元の若さと明るさをお勧めしたのですが、『いや~、あたしにピンクはムリやわ~。ピンクだけは許されませんわ~』。
『ピンク色に何かヒドい目にあったんですか?』と訊いて大笑いしました。

結局おばさまは定番配色⑧「夜桜にエンジ」でオーダーです。一週間ほどの納期をいただき、笑顔で次の目的地へと出発されました。ピンクではないにしても、「夜桜にエンジ」も十分可愛らしい配色ですけどね。
お持ち帰りが叶えば一番良いのですが、好きな配色でオーダーされ、それを待つのもまた旅の楽しみと思ってくれたのでしょう。人生の初対面で数千円の草履をオーダーし前払いする。日常に行われているこの行為が、すべて信用で成り立っているわけです。ありがたくも責任の重いのが商取引ですね。

さてお伝えの通り、明日から三日間お休みをいただきます。「手」と「口」の休息日になるとは思いますが、ほかの観光地を観てくるので体が休まるかは分かりません。帰宅してからブログでもご報告したいと思っています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ありがとう」の草履。

2014年07月13日 | 実演日記








今日の草履は、もうお名前を出していいですね。ブログコメントをいただいている山田みきさんのオーダー草履です。長年お世話になり続けたご夫婦へ贈る感謝の草履で、具体的なご希望配色はありませんでした。ただただ「ありがとう」を草履に託したい。そんなみきさんの心を出来るだけ表現したいと練った配色です。

ベース・組み合わせ共に色違いのペア草履で、ベースには「招き猫プリント」、組み合わせには「御殿まりプリント」が施されています。御殿まりはたくさんの糸を紡いで模様を表現する伝統工芸です。ご夫婦の人生が福続きであってほしいですし、これまでの人生もこれからの人生も糸を紡ぐように地道なものと思います。とにもかくにもお元気で、贈り主さんの心に添える草履になってくれたら、作者としてこれに勝るものはありませんね。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

甲冑案内人。

2014年07月11日 | 実演日記




今日の草履は、昨日に引き続くご主人用。「黒とエンジで仕事が頑張れるカッコいい色」がこちらになります。漠然と「カッコいい」だけでなく色の指定があったことで、比較的すぐに決めることが出来ました。仕事が終わり帰宅する頃は誰しも疲れていますよ。足は角館草履が、心は奥様の笑顔がきっと癒してくれることでしょう。

千葉県からお越しの女性ひとり旅。玉川温泉での湯治が終わり、一日くらいは観光して帰りたいと角館を散策されたそうです。この決断が明暗を分けた…と言えば少々大袈裟ですが、今日の角館はとても面白いイベントがありました。
それは市役所の観光部局に勤める職員さん五名が、武家屋敷通りを散策するお客様を「甲冑姿」でご案内する企画なんですね。毎月11
日に行われるこのイベントは、今日が初でありました。

『ちょうど新聞の取材と一緒になって、私も写真に入れてもらいました~』と大喜びの女性。月一回のうえ今日が初日と知り、この偶然にだいぶテンションが上がってましたよ。その様子を見る私も嬉しくなりましたね。
最近引っ越しをされた際ご両親に難儀をかけてしまったという女性は、お母上に贈り物として角館草履をお買い上げです。初角館で初イベントに遭遇し、さらにお母上へプレゼントも見つかったのですから、女性にとって角館はきっと忘れえぬ土地になってくれたでしょう。

「甲冑案内人」はこれから毎月11日に行われるといいます。今日甲冑姿に汗を流した一人から、『来月は一緒にいかがですか?』とfacebook上でコメントをいただきました。私は草履を編むのが一番お役に立てると思うので、西宮家から離れるのはやめておきます。もしどうしてもと言うのなら、甲冑姿で草履実演をしましょうか。おそらくカッコよくは見えないと思いますけどね。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

混じる配色オーダー。

2014年07月10日 | 実演日記




今日の草履は、埼玉県さいたま市にお住いの女性からの、メールによるオーダー草履です。ご夫婦分二足のご注文のうち、こちらはご自分用。ご希望配色のイメージは「黄色ベースで明るく元気な色」でした。願いに叶うことが出来たでしょうか。本日の便で出発しました。明日には届きますよ~。
明日の「今日の草履」はご主人用の、「黒とエンジで仕事が頑張れるカッコいい色」をご紹介しましょう。

ここしばらくのオーダー草履に、定番配色ではなく「基本お任せ」が続いています。常連さんの中にはかねてからいらしたのですが、たとえば「今日の草履」のご注文主は初オーダーなんですね。ただしご注文メールをいただく前日に実演席でお会いしました。試し履きで履き心地を実体験され、ご帰宅後ご夫婦で話し合ってのご注文と推察しています。

ほかに仙北市内にお住いの常連さんからも、イメージだけを伝えられた三足のご注文を賜りました。定番配色であれば何も考えずお作りできる反面、同じ配色のみを何日も編み続けることにもなります。その点「お任せ」は編むに関して新鮮ながら、配色を考える別の責任も生まれるわけです。
「定番」と「お任せ」が適度に混じる状態、これが一番ありがたいかもしれませんね。

ここまでのオーダーはあと二、三日で作り終えることができます。少しずつでも展示品を増やさないと、夏の観光シーズン開幕まで二週間もなくなりました。そうなるとまたしばらく休めなくなりますから、今月15日~17日までの三日間を手の休息日といたします。ちょっと出掛ける計画もありますので、体の休息となるかは分かりません。でも同じ色だけでは少し煮詰まります。ときに違った色を観てきたいと思います。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

酔客の記憶力。

2014年07月09日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
角館草履を代表するような「和」の配色です。組み合わせの絣調がさらに趣を深くさせましたね。男性でもいけるよう24cmにしてみました。和を好むお客様をお待ちしましょう。
絣調の布地はほんの僅かしかありませんでしたので、「今日の草履」は一点限りで終了となります。

新潟県から社内旅行のご一行様がお越しでした。お昼ごはんを西宮家で食べるツアーですね。社内旅行の典型例に「昼酒」があります。おそらく昼食以前からバスの中で飲み始めているのでしょう。かつてサラリーマン時代の自分を思い起こしても、それが楽しみのひとつであったのを憶えています。

こちらの男性陣もお酒が入っているのはすぐに分かりました。なにしろ陽気ですよ。『おやっ、なに作ってるの? はは~、草履だ~!』。おひとりの男性に試し履きをお勧めすると、『ほほ~、よしっ、俺と女房の分買ってくかっ』。
現在納期に一週間ほどをいただいている旨お伝えすると、『いいよ、いいよ。一ヶ月でも一年でも待ってるからっ』。そこが酔っている証拠ですね。

加齢と共に「物忘れ」が多くなる話を聞きますが、確かにそれはあると思います。「忘れる」とよく似た現象が「憶えていない」ですね。これは特に私が顕著なのか分かりませんが、宴席での会話は結構憶えていません。もちろん話題の重要性や関心度によっても異なるのですが、いつものようにヘラヘラ喋った内容はまず憶えていないものです。おそらく最初から憶えておく気がないのでしょう。

飲んでいるときにカミさんから言われたことが、後日『んだっけが!?』なんてことは日常にありました。何度か続いたときには、『まったくぅ、結婚したのも憶えでねぇなんて言わねべな!?』とまで言われましたよ。やっぱり事の重要性が大きいと思うんですね。全部憶えていたら私くらいの頭はすぐにキャパを超えるでしょう。

新潟県の男性がもし私に近い性格だと困るので、到着まで一週間以内のお約束は必ずお守りするつもりです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

折鶴と花束。

2014年07月07日 | 実演日記




今日の草履は、旧田沢湖町にお住いのご愛用者がおばあちゃんのお誕生日に贈るオーダー草履です。今回が三度目のプレゼント草履で、父方のおばあちゃん、お母さん、今度が母方のおばあちゃんでした。喜寿のお誕生日といいますから、とびきり可愛い配色はいかがかとこちらでお勧めしたものです。すでに昨日届いていますから、もう履いてくれたでしょうか。
折鶴と花束ブーケが可愛い平生地がこちらです。



秋田市からお越しのおばさま三人プチ旅行。うちのおひとりがすでにご愛用者で、もうおひとりのおばさまに対ししきりと試し履きを勧めてくれました。ご愛用者がお連れの方に勧める様をよく見ますが、ときに私より雄弁な方がいらっしゃいますね。
履き心地を気に入ってくれたご様子のおばさまへ、『じゃああたしがお見舞いにプレゼントするわよっ』。

「お見舞い」と聞いて詳しくお訊ねすると、『この人近々膝の手術をするのよ。退院してからもリハビリがあるようだから、ここの草履はいいと思ってね』。
「今日の草履」の贈り主さんが最初に草履を贈った父方のおばあちゃんも、当時膝の手術をしたばかりでした。その後ずーっと履いてくださっているのを贈り主さんからも聞いています。

秋田市のおばさまにもそのお話をし、好きな配色をお訊ねしました。すると贈り主さんのほうが、『パッと明るくなるような華やかな色にしてちょうだい。病後はそれくらいのほうがいいわよっ』。私も大賛成です。手術されるおばさまにも可否を訊くと、『はい、じゃあそれで…』。若干の苦笑いはありましたが、きっとお心の内は嬉しいと思うんですね。

こちらのおばさまへお作りする草履も、「今日の草履」のベースを利用するつもりです。短期間ではあっても入院生活が待っているそうですから、「折鶴」と「花束ブーケ」がきっと回復の応援をしてくれると信じています。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

元気は頭脳を超える!?

2014年07月06日 | 実演日記




今日の草履は、横浜市青葉区からお越しくださった女性のオーダー草履です。こちらの女性は当初、角館草履を購入するかどうかさえ迷っていました。それが昨日の「今日の草履」をオーダーされたお友達が早々にお決めになると、いよいよご購入を真剣に考え始めたんですね。そして決まった配色が、シーチング無地を五色連ねた「ももいろクローバーz」というわけです。

こちらの女性のように当初さほどでもなかったのが、健康効果を知り試し履きで履き心地を知り、お連れの方がお買い上げを決めたことで一気に気持ちが高まる様子は珍しくありません。そしてそうしたお客様ほど配色指定が凝っていたりするものです。「飾るのは三日間だけ」という私との約束を、しっかり守っていただけると信じていますよ。古今東西草履は履くもの、飾るものじゃないですからね~。

2020年の東京オリンピックの年に、五輪カラーの「オリンピック草履」を頭に描いています。その意味でも良いオーダーをいただきました。配色デザインが通常と異なったとき、いささか緊張感を覚えます。お客様の少ない今の時季、昼下がりになると満腹感と暑さの疲労感で眠気が差すんですね。変わった配色は午後二時くらいに編み始めるのがいいかもしれません。

それにしても「ももいろクローバーz」は面白かったですね。わが家は娘二人と同居していることもあって、今どきのアイドル事情を少しは見聞きします。「ももいろ」の子たちには、とにかく元気の良さに好感を持っていました。学生が本業なので「週末ヒロイン」を名乗っていますが、土日にあれだけパワーを使って平日の学業は大丈夫なんでしょうか。なんていうのがおっさんの発想なわけですよ。学業が多少出来なくても、あの元気で世間を渡れるなら幸せじゃないでしょうか。

仙台市からお越しくださったおばさまとのおしゃべりです。

『うちの娘が一人仙台市でお世話になっているんですよ』

『あらっ、いくつになる娘さんですか?』

『ついこの間二十二歳になりました』

『まっ、そんなに大きなお子さんがいるんですか!? もう少しお若いと思ってましたぁ』

『はははっ、きっと頭が悪いからですよ』

『・・・ま、まさかそんなことはないと思いますよ。そ、そんなふうには見えませんもの』


真剣に答えられるとむしろこちらが戸惑いました。決して頭は良くありませんが、五十を過ぎて楽しく元気に草履を編んでいるおっさんもいるわけです。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の持病。

2014年07月05日 | 実演日記




今日の草履は、茨城県土浦市からお越しくださった女性のオーダー草履です。ピンク系がご希望とのことでしたから、私に任せてくれないかとこちらから申し出ました。そして配色条件としたのが、「見た瞬間、膝を叩いて笑えるような可愛い草履」です。いかがでしょう、膝の皿が割れるほど叩いていただけると信じて、本日の便で出発いたしました。

膝ではなく、今年も「腰痛」が見えてきた草履職人です。通年腰には違和感があるのですが、暑さが厳しくなるとはっきり痛むんですね。本来なら梅雨真っ盛りのこの時季、今日の角館も晴天の真夏日です。この先しばらくこんな暑さが続くようですから、西宮家から戻ってすぐ自宅筋向いの治療所でマッサージを受けてきました。

明日の「今日の草履」でご紹介するのは、「ももいろクローバーz」のイメージカラーです。あんな若さが懐かしい…と思う腰痛職人であります。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする