角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

折鶴と花束。

2014年07月07日 | 実演日記




今日の草履は、旧田沢湖町にお住いのご愛用者がおばあちゃんのお誕生日に贈るオーダー草履です。今回が三度目のプレゼント草履で、父方のおばあちゃん、お母さん、今度が母方のおばあちゃんでした。喜寿のお誕生日といいますから、とびきり可愛い配色はいかがかとこちらでお勧めしたものです。すでに昨日届いていますから、もう履いてくれたでしょうか。
折鶴と花束ブーケが可愛い平生地がこちらです。



秋田市からお越しのおばさま三人プチ旅行。うちのおひとりがすでにご愛用者で、もうおひとりのおばさまに対ししきりと試し履きを勧めてくれました。ご愛用者がお連れの方に勧める様をよく見ますが、ときに私より雄弁な方がいらっしゃいますね。
履き心地を気に入ってくれたご様子のおばさまへ、『じゃああたしがお見舞いにプレゼントするわよっ』。

「お見舞い」と聞いて詳しくお訊ねすると、『この人近々膝の手術をするのよ。退院してからもリハビリがあるようだから、ここの草履はいいと思ってね』。
「今日の草履」の贈り主さんが最初に草履を贈った父方のおばあちゃんも、当時膝の手術をしたばかりでした。その後ずーっと履いてくださっているのを贈り主さんからも聞いています。

秋田市のおばさまにもそのお話をし、好きな配色をお訊ねしました。すると贈り主さんのほうが、『パッと明るくなるような華やかな色にしてちょうだい。病後はそれくらいのほうがいいわよっ』。私も大賛成です。手術されるおばさまにも可否を訊くと、『はい、じゃあそれで…』。若干の苦笑いはありましたが、きっとお心の内は嬉しいと思うんですね。

こちらのおばさまへお作りする草履も、「今日の草履」のベースを利用するつもりです。短期間ではあっても入院生活が待っているそうですから、「折鶴」と「花束ブーケ」がきっと回復の応援をしてくれると信じています。
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2 コメント

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㈱わらび座造園 (山田 みき)
2014-07-08 06:36:40
おはようございます。人を労わる心を”草履”に託す。私まで嬉しい気持ちになります。角館草履に出会い、こんなにも”足”の存在が忘れられていた事にはっとします。先日送った80歳の方は、草履を抱きしめ、毎日台所で履き、その日一日体が楽だった(笑)と話して下さいました。遠く故郷広島の母と同世代。”多生の縁”の意味を知り、贈る草履が幸せの連鎖となっている事を感じます。”高かったべ”皆さんそう言われます。”ハイ(笑)高いです。でも人生のボーナスに!”と言うと本当に笑顔が広がります。編んで下さる職人さんの心意気が足を支え、皆元気で居て欲しいと祈りながら。
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自分へご褒美 (草履職人)
2014-07-08 06:55:36
みきさん おはようございます。

「足を忘れていた」。この言葉は幾度となく実演席で
聞きました。試し履きをした際の足指の動きに、
みなさん忘れていたものを思い出すんですね。

「人生のボーナス」、良い言葉です。ちょうど夏季賞与の
時期ですしね(笑)。
「頑張っている自分にご褒美」の言葉も、訪れるおばさまたちの
口からよくこぼれます。私はそれでいいと思うんですよ(^_^)v
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